上白石萌音さん「PMSに悩む主人公と自分の共通点は“お節介焼き”」<映画『夜明けのすべて』>
第74回ベルリン国際映画祭【フォーラム部門】 に正式出品が決定し、世界から注目を集めている、映画『夜明けのすべて』(原作:瀬尾まいこ、2月9日公開)。 【写真】笑顔がステキな上白石萌音さん 本作で、原作の大ファンだったという上白石萌音さんは、PMS※に苦しむ主人公、“藤沢さん”を演じます。心や体の揺らぎに苦しむ人々と彼らに対する社会の反応、そして助け合いが持つ可能性について、お話を伺いました。 ※PMS(月経前症候群)とは:月経前の3~10日間に始まり、月経が始まると治まる心身の不調。月経のある女性の約70~80%が経験しているといわれていますが、その症状の現れ方や重さは個人差が大きい。特に精神症状がより重いタイプは「PMDD(月経前不快気分障害)」の可能性もあります。
生理前に心が揺らいでしまうことは、彼女の個性を作る一つの要素
――もともと原作の大ファンだったという上白石さん。主役の藤沢さんを演じて、改めて感じたことや、発見したことはありましたか? 上白石さん:「藤沢さんって変な人だな~」と思いました(笑)。演じているときには思わなかったけど、完成した映画を客観的に見たときにビックリして。それほど仲良くない同僚の家を急に訪れて髪を切ったり、初めて出会った人にお守りをあげたり。側から見たらすごく変なことを、ごく普通のことのようにするんですよ。そんな藤沢さんがとても愛しく思えて、こういう感覚の違いが人間の面白さだな!と改めて感じました。 ――山添くんの家で、ポテトチップを袋から口に流し込むシーンには特に衝撃を受けました(笑)。 上白石さん:あははは。それ、実は台本にないんです! うれしいな、監督に報告しよう。 ――PMSによる不調で怒りを我慢できず、上司や友達に対しても大声で問い詰めてしまうという壮絶な体験を繰り返しながら、人生に対してまったく悲観的にならない藤沢さん。そんな彼女の強さを、どのように捉えて演じましたか? 上白石さん:藤沢さんは本来、すごく明るくて楽観的な人なんだと思います。周りの目を意識しすぎてしまう繊細さは後天的なもので、PMSで人に迷惑をかけてきたことが心の負担になっているのかなって。それでも、PMSが終われば素直に謝り、日常を楽しもうとする彼女を演じながら、いい意味であっけらかんとしているな、と感じたんです。 PMSがなければ、もっとハツラツとしていて、会社でもムードメーカーのような存在になっていたかもしれません。でも、人の目を気にしてしまうからこそ、人の変化に気づいて手を差し伸べられる、今の彼女の優しさがあるんですよね。生理前に心が揺らいでしまうことは、彼女の個性を作る一つの要素なんだと思います。