〈横浜強盗殺人〉金の回収役は「闇バイト夫婦」だった…妻は2児の地味な母、夫はオレオレ詐欺に関与して10月に逮捕「お金に困っている家庭にみえた」
最後に見かけたのは1カ月前
“闇バイト夫婦”は足立区でどんな暮らしをしていたのだろう。近くに住む女性に美穂容疑者の写真を見せると、こんな答えが返ってきた。 「たぶんこの写真の人だね。メガネかけてることもあったんだけど、そうそうこんな感じの人。数年前から毎日旦那と子供2人連れて朝9時ごろ歩いてるのを見かけましたよ。行き先はわからないけどおそらく保育園なんじゃないかな。子供がそのくらいの年齢の子に見えたし、何度か旦那と一緒に戻ってくるのも見かけたことあるから。 奥さんに関してはオシャレしてる感じじゃないけど、ごく普通って感じの服装で、旦那は短髪でTシャツに短パンみたいなだらしない雰囲気の服装でした」 朝だけでなく、夕方も夫婦そろって子供連れで歩いていたという。 「仕事をしているとしても家でやる仕事なのかなと思っていました。逮捕のことはニュースで知りましたが、そういえば奥さんはここしばらく姿を見なくなっていました。子供連れで歩くのも旦那さんだけになっていたのですが、それも見かけなくなりましたね。 最後に見たのは1ヶ月くらい前、旦那さん1人で自動販売機でジュースを買ってるところでしたね。最近は近所の人同士で、『強盗もこんなお金なさそうな家は狙わないでしょなんて言ってられないね……。1万円でも盗られるんだから』と言い合っていました。それがこんな近くに住んでいたなんて……。怖いですよね」 近隣の男性住民も子供連れで歩いたり、車に乗せて出かけたりする夫婦の姿を見ていた。 「正直挨拶もしないからよくわからないんだよね。もちろん夫婦で子供たちを保育園に連れて行ったりするところは見かけたけど、それくらいのもんでさ。でも家をみると決して裕福ではない生活にみえたよね。ただし車は持っていたみたいでたまに家の前に車が停まって子供を乗せて出かけたりもしてたよ」
「仕事でつかう」と駐車場を借りた夫
木本容疑者が借りていた駐車場の大家はこう証言した。 「一年前くらいに夫婦で駐車場を借りたいと尋ねてきましたね。いや、もう夫婦ともに普通って感じの人でしたよ。奥さんはぽっちゃりして髪をひとつに結った地味な物静かな人でした。 奥さんは一言もしゃべらないで旦那さんがしゃべっていましたね。旦那さんは関西弁で、明るくしゃべる感じでしたね。子供がいるとは聞きましたけど、あまり個人的な話はしていませんでした。 最初に契約した時は白っぽい車に乗っていて、月に15000円の駐車場代だったんだけど、今年の4月に本人の希望で解約したんですよ。でも10月になって再契約したいと旦那さんがまた来ました。その時は『仕事の関係でまた駐車場が必要になった』とのことで、今度の駐車場代は16000円でした」 車が必要な仕事とは、強盗が奪った現金の「回収」だったのだろうか。 「これまでは駐車場代の支払いが遅れたことなどなかったのですが、振り込まれていないので『おかしいな』と思っている矢先に警察が『契約書を見せてほしい』と訪ねてきたのでびっくりしました。まさかあの奥さんが強盗事件に関わってるなんて思いませんよ。 旦那にしたって格好はラフだけど、犯罪なんてしそうには見えませんでした。駐車場には夫婦が乗っていた車が置きっぱなしになっていますが、埼玉県のナンバーの付いたレンタカーでした。あの夫婦が住んでいたアパートはお金を節約したい方が住む場合が多いので、レンタカー借りるなんて余裕があるななんて思ってましたよ」 回収金は首謀者に「回収」され、自分たちの手元に残るのはわずかばかりだったに違いない。 幼子2人を抱える夫婦がすがった闇バイトで罪もない人たちが傷つき、命を落とし、社会には恐怖感が蔓延している。この構造を生み出したのは現代社会の必然なのか、それとも政治の怠慢か。いずれにしても放置し続けることは、許されない。 ※「集英社オンライン」では、今回の事件について情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せください。 メールアドレス: shueisha.online.news@gmail.com X(Twitter) @shuon_news 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
集英社オンライン編集部ニュース班