「朝河桜」酵母でパン 福島県郡山市の安積高生と鏡石町の岩瀬農高生開発 風評払拭へ新商品発信
福島県郡山市の安積高生物部と鏡石町の岩瀬農高食品科学科の生徒は、安積高敷地内にある「朝河桜」の花や実から取り出した酵母を使ったパン作りの共同研究を始めた。将来的な商品開発を目指し、県産品の風評払拭などに役立てる。酵母の引き渡しが11日、安積高で行われた。 「朝河桜」は安積高卒業生で二本松市出身の歴史学者朝河貫一博士ゆかりのソメイヨシノ。生物部の生徒が中心となり、2019(平成31)年から酵母の取り出しとパン作りの適性を研究してきた。膨らみやすく発酵能力が高い酵母「10―β」(じゅうのべーた)を2020(令和2)年に見つけ、パン作りのノウハウ・設備がある岩瀬農高にメニュー開発を依頼した。 岩瀬農高生が開発・販売してきたパンは市販のドライイーストを使用しており、天然酵母での製造は初めて。3年生5人が課題研究として、酵母の培養や商品化の検討を進める。 11日は安積高生がシャーレ20個(パン1斤分)の酵母を岩瀬農高生に託した。安積高生は酵母が増殖しやすい培養液などの研究を続ける。田中ちひろさん(2年)は「コラボ商品の開発で福島の活性化につなげたい」と意欲を見せた。
「10―β」のパンは強い弾力とモチモチ感が特徴だ。岩瀬農高の鈴木理央さん(3年)は「桜あんパンやデニッシュを作りたい」と想像を膨らませた。 安積高の立川祐大さん(3年)と熊田未羽さん(2年)、岩瀬農高の小池こはるさんと加藤澪さん(ともに3年)が同席した。 県高校教育課によると、高校同士が連携した食品開発は例が少ないという。