習近平政権、中国不動産バブル崩壊から「国有銀行」まで大ピンチで自滅…世界経済に波及する「ヤバい影響」
不動産バブル崩壊の負の影響
3月27日、時価総額で世界最大の中国工商銀行(ICBC)は2023年通期の決算を発表した。同行の収益性は、住宅ローンの焦げ付き増加などで低下した。 【写真】34歳年収1200万円商社マンが「日本の自滅」に肩を落とすワケ 5大国有銀行の一つである中国交通銀行の副社長は決算会見で、不動産企業の資金繰りが改善するには時間がかかり、関連分野の債権など資産の価格下落圧力は高まるという旨の「警告」を発した。 不動産バブル崩壊の負の影響は、中小の銀行にとどまらず大手の国有銀行にも徐々に波及しつつある。中国建設銀行は、大手デベロッパー“世茂集団(シーマオ・グループ)”の清算を香港の裁判所に申し立てた。国有銀行でさえ、不動産企業のリスクは危険水域に近付きつつあるようだ。 それでも、3月下旬、中国政府は銀行に不動産向けの融資を増やすよう要請を強めた。国有銀行などは当局の方針に従わざるを得ない。そうした状況下、中国政府は供給力の強化を優先している。 世界市場での中国企業のシェア拡大を目指しているはずだが、福祉政策の拡充などは限定的で、国民の節約志向は変わらないだろう。今後も、資産価値の下落、資金需要の低迷によって、中国経済の低迷が続きそうだ。
5大国有銀行にも波及
2020年8月、不動産向けの融資規制である“3つのレッドライン”の実施により不動産バブルは崩壊した。中国の金融業界では、不動産向け融資の割合が高い地方の中小銀行の不良債権が増えた。自力での事業継続が難しくなるケースもある。 4月15日、遼寧省の錦州銀行は上場を廃止し、政府系ファンドの傘下に入る予定だ。事実上の破たん状態にあるとの見方も多い。 そうした負の影響は、5大国有銀行(ICBC、中国交通銀行、中国建設銀行、中国銀行、中国農業銀行)に波及し始めた。 2023年、5行の収益性は低下。不動産関連分野での不良債権の増加が響いた。地方融資平台などへの融資の焦げ付きも業績低迷の一因だ。5行の経営陣は不動産セクターのリスクは当面解消されないだろうと先行きへの警戒を強めた。 中国の銀行にとって、融資対象になる不動産企業と破たん懸念の高い貸出先を明確に分ける必要がある。信用リスクの低さから国有・国営企業への貸し出しは行いやすい。一方、政府の資金援助などが期待しづらい、民間の企業に対する融資態度は硬化するだろう。