柴咲コウ『蛇の道』で描く「答えのない生きざま」 驚くほど流暢なフランス語に対する絶賛の声
■物を大切にする心を再確認したパリ それだけではなかった。パリでの生活は、柴咲の活動にも影響を与えたようだ。 「撮影の途中で、のみの市に行けたのはとてもよかったですね。日本で親しくしている家具屋さんと偶然再会し、一緒に家具のチェストを購入したんです。本当にいろいろな人たちが、自分にとっては不要になったけれど、思い入れのある物を一斉に出店する場所で、普通の家庭のおばあちゃんが売っていたりもします。私はそのおばあちゃんから家具のチェストを買いました。こうして物が巡り、必要としている人の手に渡って再び大切にされるというのは素晴らしいことだと思います」
柴咲は北海道にも拠点を持ち、サステイナブルな取り組みに力を入れている。2018年には環境省の環境特別広報大使に任命され、日本の自然や文化を発信。パリでの日々は、物を大切にする心を再確認させるものだった。 柴咲は、幼少期の経験が今の美しい生き方や環境への意識に大きな影響を与えたと振り返る。 「8歳くらいから夏休みの40日間を静岡の知人の家でホームステイのような形で過ごしていました。その経験はとても貴重で、川で魚を釣ったり、山に行って自然と触れ合ったりすることがとても心地よかったです。そこでエネルギーをチャージしていたように感じます」
■“つねにアップデートを欠かさない” その後の人生でも、柴咲はよりよい暮らしを求めて“つねにアップデートを欠かさない”姿勢を大切にしているようだ。 「アップデートって自分の心地よいところで止まってしまいがちですよね。無理し続けることはできないので、少しずつよくしていくことが大切だと思います。例えば、キッチンの掃除でも、いつもなら面倒で手をつけないところを今日はちょっと頑張ってやってみよう、という感じです。それが習慣になれば、それ自体がアップデートになっています」
さらに、柴咲は日々の小さな努力の積み重ねが重要だと強調する。「『今日はやってみよう』という小さな努力が、やがて習慣となり、心地よい暮らしを実現するカギとなります。たとえ窓拭きが嫌いでも、少しずつ挑戦することが大切です。日々の『ここまでやってみよう』という意識が、積み重ねの大切さを示しています」 こうした彼女の姿勢は、暮らしの中でのちょっとした努力が筋トレにもなる一石二鳥の効果を持つことを実感し、「洋服の整理なども含めて、細かいことを見つめ直すことを繰り返してつねにやっています」と笑顔で語る。