新型ヤリスクロスGRスポーツはクルマへの情熱が目覚めるかもしれないコンパクトSUVだった! トヨタ流ホットハッチとは
好ましい点と気になる点
はたして、ヤリスクロスGRスポーツハイブリッドに乗ってみると、期待以上に走りがスポーティだ。最大トルクが3800rpmからと、ハイブリッドではあるものの、エンジンをまわして走るとどんどん力が出てくる設定なのが、まず好ましい点。 サスペンション設定はさすがにやや硬め。カーブを曲がるときに車体のロールはしっかり抑えられている。それでも、そこは足まわりの設定にこだわるトヨタだけあって、路面段差をこえるときなど、期待以上にショックを感じさせずスッといく。 乗り心地が硬いなぁ、と、感じるのは、専用に用意されたファルケンFK510SUVというタイヤのせいかもしれない。サイドウォールの必要以上のたわみを抑えて、カーブですばやく曲がっていけることを目指しているのだろうか。 もうひとつ、ちょっと気になるのは高めの回転域までまわしたときのエンジン音。まわしているなぁ! と、気分こそアガるけれど、音のチューニングがちょっと耳につくことがある。加速性がいいので、そのうち気にならなくなるが。 現行モデルは、7.0インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイも装備。スポーツタイプのシートとはいえ、クッション性もよく、とくに前席の居住性は高いので、好きな音楽を聴きながらのドライブ、という楽しみもある。 トヨタでは、世界ラリー選手権で活躍中の「GRヤリスラリー1ハイブリッド」のイメージを頂点に、スポーツドライビングの楽しみを広く知らしめようとしている。こういうクルマに乗ると、ひょっとしたら忘れていたかもしれないクルマへの情熱が再燃するかも。そこが魅力である。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)