<映画評>ディズニーが描いた“悪役”とは『マレフィセント』
半世紀以上前にアニメーションとして送り出された『眠れる森の美女』。そのアナザーストーリーとしてディズニーが手がけた今回の作品は、主人公が“悪役”という大胆なもの。その悪役を存在感抜群のアンジェリーナ・ジョリー、“本来の主人公”、オーロラ姫をエル・ファニングが演じている。邪悪な妖精『マレフィセント』がどのようにして、憎しみを覚え、どのように復讐し、どのような変化が起こっていくかを、ディズニーらしさが存分に詰まった作品となっている。 率直な感想として、非常に感情移入しやすい作品ではないだろうか。天真爛漫な少女は、もちろんオーロラ姫もそうだが、幼い頃のマレフィセントも同じ。初々しくも無垢なそれぞれの少女の姿には、思わず頬が緩んでしまう。その成長過程で、さまざまな変化が起こっていき、ストーリーが展開されていく。映像にも目を奪われる。劇中で描かれた戦闘シーンは圧巻で、緊張感たっぷり。出演したエル・ファニング自身が「緊張してシートの端を握っていた」というのも理解できるほど、迫り来るものがある。CG技術も繊細で、妖精の世界を華麗に表現している。 やはり、オリジナルを知った上での鑑賞をお勧めする。『マレフィセント』で描かれているそれぞれのキャラクターとの違いは、観ていて楽しくなるだろう。「メッセージ性が強い作品」とアンジェリーナ・ジョリーもエル・ファニングも口を揃えるだけあり、ラストシーンには、強烈な印象を与えてくれるだろう。 ■公開情報 タイトル:『マレフィセント』 公開表記:7月5日(土) 全国公開 配給表記:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン 著作表記:(C) 2014 Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.