与党惨敗の一因は石破首相の“迷走” 言行不一致でブレあった…田崎史郎氏が分析
第50回衆院選は27日に投票、即日開票され、自民党は政権交代を許した2009年以来の惨敗を喫した。自民党、公明党の与党は、裏金問題による非公認前職を除く公認での過半数割れが確実。自民党総裁の石破茂首相(67)は同日にテレビ各局の番組に出演。責任を取って首相を辞任することを否定し、これまでの自民・公明に加えて他の野党も連立に加える可能性を示唆した。 ジャーナリストの田崎史郎氏は、自民大惨敗の原因について「石破首相自身に言行不一致があり、さまざまなブレがあった。また、政治とカネの問題に対する不信感が根強く残っており、最後まで払拭(ふっしょく)できなかった」と指摘した。内閣の今後については「反石破派の急先鋒(せんぽう)は、主に派閥裏金事件を起こした旧安倍派。反石破ののろしを上げても、惨敗の原因を作ったのは旧安倍派ともいえ、ブーメランになる」とした。 敗因の一つとして、石破氏自身の“迷走”があると見ている。総裁選で石破氏は現行の保険証を12月2日に廃止し、マイナ保険証に一本化する政府案について「併用も選択肢」とし、見直す可能性を示唆したが、結局、従来通りとなった。 また、アジア版北大西洋条約機構(NATO)の創設なども方針から消え、解散時期についても11月を想定したが、党幹部に押し切られ、早める形に。結果、内閣支持率は急落した。「石破氏は森山裕幹事長らに押し切られて早期解散に踏み切ったが、準備不足は否めなかった。物価高対策なども打ち出してはいたが、選挙が始まれば、政治とカネの問題にかき消されてしまった」 裏金問題を巡り、選挙期間中に問題を起こした議員の選挙区支部に2000万円が振り込まれていたことが発覚し、より逆風を強めた。田崎氏は「刑事処分や政治的責任の観点から考えられるあらゆる処分が下り、後は有権者に判断してもらうという形での選挙だった。だが、さまざまな問題が噴出し、相当、厳しい結果になってしまった」と振り返り、「来夏には参院選を控えているが、いきなり正念場を迎えてしまいました」と語った。
報知新聞社