西武14歳差バッテリーが楽天のスクイズに仕掛けた罠 可能にした「ピンチでも変わらない」ドラフト1位左腕の度胸
◆西武2―1楽天(11日、ベルーナドーム) 西武の炭谷銀仁朗捕手(36)が、無傷の3勝目を挙げたドラフト1位左腕の武内夏暉投手(22)を称賛した。自己最多の3四球を与え、7安打を浴びながら1失点に抑えた投球内容に「調子はいまひとつかなという気はするけど、球自体がしっかりしている。全部の球が勝負球になるので、自信を持っているからじゃないかな」と評した。 ■衝撃のデザイン!?西武の特別ユニフォーム【写真】 特に炭谷が絶賛するのが、武内の強心臓ぶりだ。「ピンチでも全然変わらない」。1点リードの7回1死三塁で楽天・村林を迎えた際、炭谷は武内にスクイズも頭に入れるよう伝えている。その上で1ストライクから外角低めにツーシームを要求した。「このカウントか、その次のカウントで(スクイズが)ありそうだと思った。一番空振りがしやすく、バントしてもミスになりやすい。打ったとしても村林の打ち方ではゴロになりやすい。全部を加味して選択した」。武内は力むこともなく要求通りのコースに投げてスクイズを空振りさせ、三塁走者を三本間で挟殺。炭谷は「(バントの場合は)ファウルになりやすいという計算だった。想定よりも良い、最高の結果」とうなずいた。 前回バッテリーを組んだ3日のソフトバンク戦では、0―0で迎えた6回2死三塁で好調の柳田をカーブで空振り三振に仕留めた場面が注目された。その2球前、炭谷は追い込んだ場面でインコースの直球を要求したが、武内はかたくなに首を振り、その日自信があったチェンジアップを投じた。炭谷は「僕は遊び球をつくりたくなかった」と振り返りながら、堂々と首を振ってきたルーキーに「そうじゃなきゃ、やっていけない。武内は物おじしない度胸がある」と感心した。「マウンドに集まったとき、どちらかというと人の話が入ってこないタイプの投手が多いが、武内はちゃんと聞いている」と冷静な一面もたたえた。 プロで5戦先発した武内だが「試合前は緊張しても、投げたら大丈夫。(大学2年時の明治神宮大会で初先発初完封した)九産大戦の試合前を超える、緊張した試合はない」と言い切る。その上で「炭谷さんはインコースの使い方やカーブの使いどころが本当にうまくて、いつも助けられています」と5戦全て組んでいるベテラン捕手に感謝する。力を出し切れる武内と、配球の妙で力を十二分に引き出せる炭谷。14歳差のバッテリーがパ・リーグ屈指のコンビになりつつある。(末継智章)
西日本新聞社