3位転落の広島・マエケンが涙の決意
そのことを聞かれたマエケンは、「プレッシャーはあったけれど、今までも、そういうプレッシャーの中で投げてきている。状態は決して悪くなかった。登板間隔が空いていたが、調子は普通だった」と答え、目をかっと見開いた。 9月27日の中日戦以来の先発マウンド。中8日も空いた登板間隔では調整は難しかったのかもしれない。それでも丁寧にコントロールをして巨人打線が、低めのボール球に手を出す凡打が目立った。キレは悪くはなかった。それだけに自分への腹立たしさが増す。 「次のマウンドで、この悔しさを晴らしたい。(CSを)勝ち抜けば、また巨人と当たれるわけだから。巨人に対しては、去年の悔しさもある。自分の力で(CSを)勝ち抜けるように頑張りたい」 マエケンには、この1年間、引きずってきた悔しさがあった。 昨年のCS。第1ステージは、敵地、甲子園で阪神を蹴散らかして“下克上”の勢いを持って東京ドームに乗り込んだ。だが、初戦を大竹で落とし、もう後がなくなった状況の10月17日の第二戦にマエケンは先発したが、3回にシーズン2本塁打しか記録していなかった寺内にまさかの3ランを浴びて、菅野との投げ合いに敗れた。ここ一番で踏ん張れなかった。エースとしての自らの未熟さを責めた。だが、皮肉にも、また、その巨人に今季最終戦でCS本拠地開催の夢を無残に破られた。あまりに不甲斐ない……マエケンが流した涙の理由がここにある。 11日から敵地・甲子園で阪神とのCSの第1ステージが始まるが、この日、118球を投げたマエケンは、おそらく中4日となる、その開幕戦は回避、12日の第2戦の先発へ回るだろう。対する阪神の先発予想は、今季対広島に2勝1敗で防御率、1.71という抜群の相性のよさを持つ能見篤史。この日の巨人戦と同じく、先にミスをした方が負けという1球たりとも気の抜けない緊張感に包まれた試合展開になるのは間違いない。まずは、その阪神を倒さねば、マエケンの巨人へのリベンジも果たせない。 試合後のセレモニー。 野村監督は、「CSでは去年の経験を活かし、選手は必ずやってくれるでしょう。そして(日本シリーズで)マツダスタジアムに帰ってくることを信じて、戦ってきたいと思います必ずここマツダスタジアムに帰ってきます」とファンに誓った。 (文責・駒沢悟/フリーライター)