CLO市場の休止状態、長期化の恐れ-アルティス格下げが引き金か
(ブルームバーグ): フランスの通信会社アルティス・フランスは、ヘアカット(債務減免)の受け入れが今後必要になると債権者に伝えると決めたが、影響が出るのはこれからだ。
S&Pグローバル・レーティングは28日、アルティスの格付けを「B-」から「CCC+」に引き下げたと発表した。
アルティスのような企業のローン債権を束ねて証券化するローン担保証券 (CLO)マネジャーの一部にとって、それはリスクの高いローンの保有上限を突破する危険を意味している。
BofAセキュリティーズのストラテジスト、プラティク・グプタ氏は「アルティスのローン価値が下落しており、CLOマネジャーは価格が高めの他のCCC格付けローンを処分する必要があるだろう」と分析した。同氏によれば、マネジャーらが対応しないと仮定した場合、米国のCLOの約13%が基準を突破した可能性がある。
大部分のCLOマネジャーが保有する同じようなローンが格下げされる場合は特にそうだが、上限の範囲内に戻すには、大幅なディスカウントでの売却を選択せざるを得ないかもしれない。この問題が広がり、CLO市場の休止状態が長期化する引き金になれば、最近数年の金利急上昇を経てリスクの高い企業の借り換えが一層難しくなり、実体経済にも打撃が及ぶだろう。
米連邦準備制度が利下げを開始する前にリターンを得ようと投資家が動く中で、クレジット需要も急増し、年初のCLOの発行は記録的ペースとなった。
しかし、アポロ・グローバル・マネジメントは債務返済には収入が少ない企業の存在を挙げ、オークツリー・キャピタル・マネジメントのブルース・カーシュ最高投資責任者(CIO)は、BないしCCC格付け発行体のうちキャッシュフローがマイナスの割合が増えていると先週のリポートで指摘した。
CCC格付けへの引き下げは、デフォルト(債務不履行)リスクが高いと分類されることを意味する。個々のローンの格下げがCLOの投資家へのリターン支払い能力を損なうことは通常ないだろうが、アルティス・フランスの債務の大きさ(約240億ユーロ=約3兆9000億円)は、市場への波及効果を暗示する。