奈緒さん「負の感情を『陽』に。自分の道は変えられる」 映画「陰陽師0」で平安時代の女王役
平安時代に実在した陰陽師・安倍晴明の活躍を描いた夢枕獏さんのベストセラー小説「陰陽師」シリーズを原作に、晴明が陰陽師になる前の物語を描いた映画「陰陽師0」が4月19日から公開されます。若き晴明と、ある事件の解決依頼を彼に持ち掛ける源博雅がバディとして協力しあいながら平安京を巻き込む巨悪な呪いに挑む本作で、怪奇現象に巻き込まれる皇族の徽子(よしこ)女王を演じた奈緒さんに、作品の魅力や演じた役などについて聞きました。 【写真】奈緒さんインタビューカットはこちら
あらすじ
平安時代、呪いやたたりから都を守る陰陽師の省庁であるとともに彼らを育成する学校でもある「陰陽寮」が政治の中心にあった。安倍晴明(山﨑賢人)は、呪術の天才と呼ばれる存在でありながら、陰陽師になる意欲や興味がない変わり者としても知られている。ある日晴明は、貴族の源博雅(染谷将太)から徽子女王(奈緒)を襲う怪奇現象の調査を頼まれる。晴明と博雅がぶつかり合いながら調査を進める中、ある学生の変死をきっかけに、平安京を揺るがす巨大な陰謀と呪いの存在が浮かび上がる。
これまでと違う「安倍晴明」像
――映画は1986年から続く夢枕獏さんの伝奇小説が基になっていますが、今作の脚本のどんなところに魅力を感じましたか。 「陰陽師」は、これまでも映画や舞台など様々な形でメディア化されているので、きっとそれぞれの「陰陽師」像が皆さんの中にあると思うのですが、今作はまた別の、新しい「陰陽師・安倍晴明」を見ることができるが一番の魅力だと思います。私たちが想像する安倍晴明が、一人の人間としてどういうことを乗り越えてきたのかを描いているので、今までの「陰陽師」ファンの方も、初めてご覧になる方も楽しめる作品だと思っています。 今回映画化するにあたって、夢枕先生が原作で大切に紡がれてきたことや、呪術の元になっている人の心の機微みたいなものをどれだけギュっと閉じ込められるかというところが大切だったと思うんです。でも、脚本を拝読して佐藤嗣麻子監督の原作への深い理解と愛があったからこそ、この映画化が叶ったのだと感じました。それに、この晴明を体現できる山﨑賢人さんという俳優さんがいたことで、現代でしか生まれることがなかった作品になったなと思います。 ――演じた徽子女王は平安時代中期の歌人で実在した人物でもありますが、どのように役をつかみ、作り上げていったのでしょうか。 残されている史料やヒントになるものがそんなになかったこともあり、自分の中でいろいろと膨らませながら演じた役でした。徽子女王が伊勢の斎宮に選ばれたということも史実として残っているけど、その裏で一人の女の子として幼い彼女にどんな心の動きがあったのだろうということは教科書や文献に書かれていることではないので、そういった部分を大切につなげるといいなと思っていました。 若き日の晴明を描いていることもあり、映画のタイトルが「陰陽師0」となっていますが、私は徽子女王にとっても「エピソード0」になっているんじゃないかなと思うんです。才女と呼ばれた徽子女王が誕生するまでの、彼女の中にしっかりとした芯の部分ができるまでのエピソードだったような気がして。そこに至るまでの心の揺れを作品の中で丁寧に演じられたらいいなと思い、佐藤監督ともたくさんお話を重ねました。