重盗に配球ミス…巨人に歴史的開幕3連敗の矢野阪神への疑問
阪神が4日、東京ドームで行われた巨人戦に1-10で完敗して4連敗。“伝統の一戦”である巨人―阪神において東京ドームでのシーズン初対戦での3連敗は史上初の屈辱となった。オープン戦から指摘されていた“貧打”は解消されることなく、開幕から6戦で1試合3点以上を得点した試合も、2桁安打試合もなく現在のチーム打率は.183。ここまで反撃力がなければ、投手が序盤に崩れてしまうと勝利のゲームプランは立てにくい。この日も、4回までに6失点した時点で、3点以上の得点能力がないのだからジ・エンドである。 新外国人のマルテは2軍。新戦力は脇役のルーキー2人。4番の大山を含む若手に成長が見えないのであれば、得点力がアップできないのも仕方がない。だが、問題は防ぐべき失点を防ぐことができていない部分にある。特に捕手出身の矢野監督が注視すべきバッテリー部門でのミスが目立つ。厳しい言い方かもしれないが、矢野監督は昨秋の監督就任以来、一体何を教えてきたのか。疑問だ。 この日は、初回にダブルスチールを許した。岡本に先制の2ランを浴び、さらに亀井がセンター前ヒット。続くゲレーロの当たりは、ライトへのライナーだったが、これを糸井がグローブに当てながらポロリ。記録はヒットとなったが、隠れたボーンヘッドで、二死一、三塁とピンチが広がり打席に田中を迎えた。 そこでカウント1-2からゲレーロが盗塁を仕掛けてきた。坂本は二塁へスロー。だが、スローよりも早いタイミングで三塁走者の亀井はスタートを切っていた。北條が二塁のベース前でカットして本塁へ送球したが、よほど慌てていたのだろう。これがバックネットのフェンスにダイレクトに当たるようなとんでもない悪送球となり、亀井が楽々3点目のホームに滑り込んだのである。 ビデオを見直すと坂本はスローの寸前に三塁走者を見ていない。現在、三塁走者を油断させるノールックがセオリーらしいが、坂本のスロー動作は、一瞬、遅れていた。北條は、はなから二塁ベースカバーに向かっていなかったので、カットのサインだったのだろう。だが、北條も、またボールを握れなかった。初回に意表を突いた原采配を褒めるべきかもしれないが、すべてにおいて準備不足だった。 WBCで世界一捕手となった評論家の里崎智也氏によると、こういうケースでは、「おそらく走ってくるとは思っていなかったのでしょう。ただ、この場合、重盗を仕掛けられたときにどうするかを事前に決めるのはベンチのサインなんです。結果論で言えば、ノースローでも、投手へのスローでも良かったのでしょうが、現場は決められた動きをしただけだと思います」ということらしい。 坂本は、このプレーの前に内野手に対してプロテクターを触るブロックサインを送っていた。もしゲレーロが走ってきた場合は、北條がベース前でカットして本塁送球というサインだったのだろう。だが、すべてにワンテンポ遅れていた。もし北條がストライク送球していたとしてもセーフのタイミングだった。阪神が、どこまで細かいサインを決めていたのか知らないが、ダブルスチールに対する備えが徹底されていなかったように見えた。 里崎氏が指摘するように、このケースでの準備がベンチのサインですべて決まるのであれば、ベンチのミスである。