築100年超 元割烹旅館の木造建築、1棟貸し宿泊施設に 浜松・春野
浜松市天竜区春野町堀之内の築100年超の木造建築を用いたカフェ「ラ・ヴィ・リーブル」が5月、宿泊施設に装いを変えて再出発した。建屋はかつて、宝塚歌劇団の団員が利用した割烹(かっぽう)旅館だった歴史がある。運営する梅[ばい]美由紀さん(56)=同区=は「また来たいな、と思える居心地の良い空間にしたい」と地域の交流拠点としての活用も見据える。 旧道沿いに位置する3階建ての建屋付近は、清流の気田川が流れる。玄関には年季の入った柱時計や電話室など昭和の雰囲気を醸し出す調度品、新設のまきストーブが並ぶ。1日1組限定の1棟貸しで、犬を連れた宿泊も可能。 重厚な木造建築は4年前まで、1877年創業の旅館「松本屋」として地元やタカラジェンヌに親しまれていた。宝塚歌劇団の演出家、故白井鐵造氏の出身地が旧春野町という縁で、出張公演の際に多くの団員が宿泊したという。2020年に営業を終えた後、新たな所有者に管理を任された梅さんがカフェを営んでいた。 遠方からドライブやツーリングで訪れる旅行者向けの宿泊施設が春野町内に少ない点などに着目し、庭や2階の部屋を生かした業態への転換を決めた。美容や食事、占いなどをテーマとするイベント「旅籠(はたご)屋マルシェ」を開催するなど、地域の憩いの場としての活用も進める。 予約方法などは「ラ・ヴィ・リーブル」を検索すると確認できる。名称の語源はフランス語の「自由な人生」。梅さんは「歴史がある日本家屋のたたずまいや、地域の自然を楽しんでもらえれば」と話す。
静岡新聞社