OBは明治までさかのぼる!?144年の歴史を持つ山梨の超伝統校が挑む大きな壁
全国各地に伝統校と呼ばれる学校は一定数存在するが、創立144年という歴史の長さは、そう沢山あるわけではない。山梨県甲府市にある甲府一は、長い歴史を持った山梨県屈指の伝統校として、名の知れている学校である。 【一覧】21世紀枠都道府県推薦校
144年の歴史を力に
田中蒼空主将に話を聞くと、伝統の重みを感じるときもあるという。 「監督室に卒業生全員の名前があるんですが、一番古い方だと明治からあるので、純粋に凄いと思うんですが、上からずらりと並ぶ名前が本当に多いです。 加えて、1つ上の先輩たちは良い結果を残してくれたので、自分たちで成績を落とすわけにはいかないです。寄付したり、指導したりしてくれる人へ恩返しをする意味でも結果を残したいと思っています」 一方で、「寄付をしてくれる人もいれば、グラウンドに指導に来てくれる人、試合になればスタンドに応援してくれる人がいるので、ありがたいです」と話す。 チームを指揮する保坂典秀監督も、「選手たちにとってOBたちの存在は大きいと思います。差し入れも頂けますし、応援にも来てくれますから」と先輩たちに感謝しているようだった。
そんな保坂監督は、自身の学生時代も振り返って、「来るべきだったな、と思います」と語り、甲府一の良さを改めて感じているようだった。 「彼らが羨ましく思うことがありますね。文武両道として、野球に対する熱量はもちろんですけど、学校生活も真剣に過ごしている。うちの伝統行事で強行遠足って言う男子は104キロ、女子は41.6キロを歩くんですが、全員が手を抜くことなくやり切る。そういった令和にはない、諦めないとか古き良き伝統を継承する。もちろん、時代に合った新しいマインドを取り入れながらですけど、そういった姿勢はやっぱりカッコいいとか、いいなって思われる学校を目指したいです」 そのための指導を保坂監督も意識的に取り組んでいるとのことだが、逆にOBから教わることもあると、田中主将は話す。 「指導に来て下さったOBに言われたんですが、『心とは何だ』と聞かれて。その時に恥ずかしながら答えることができなくて、『早くこたえられるような選手にならないといけない』と指導されて、チームの合言葉である『心は1つ』って言葉について再確認することになりました。 それからは、野球だけではなくて人間としてどうあるか。甲子園とか試合での勝利に繋がる部分だから、練習から質の高い声を出し合って意識を統一することで、心を1つにしながら試合で勝てるようにしたいと思っています」