FOMC内の中立金利を巡る議論が再び活発化へ、米雇用者の大幅増で
金利の変化が実体経済に浸透するのに時間がかかるため、当局は中立金利の議論を取り上げるのが遅れた。しかし、ここ数週間で、さまざまな当局者がどちらの立場にも立つようになった。
ダラス連銀のローガン総裁とアトランタ連銀のボスティック総裁は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の間に中立金利が上方へシフトした可能性があるとの考えを明らかにした。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁とウォラー連邦準備制度理事会(FRB)理事は反対の立場を主張している。
皮肉なことに、この話題に関する当局者の発言が相次いだのは、経済の驚くべき力強さが衰え始めていることを示唆するデータが相次いだ直後だった。4月のインフレ調整後の個人消費支出(PCE)は、買い物客が物価に敏感になっていることから予想外に減少した。
しかし、5月の雇用統計が力強い内容となり、多くのセクターで雇用が堅調であったことから、FOMC参加者が11-12日に開催される会合に向けて準備を進める中、中立金利の議論が再び盛り上がることになった。
ボスティック氏は5月21日、長期的な中立金利について「誰もがそのダイナミクスを再考している」とした上で、「まだ結論は出ていない。年内に一段と深く掘り下げていくことになるだろう」と、記者団に述べた。
原題:Jobs Surge to Reignite Fed Debate Over How Restrictive Rates Are(抜粋)
--取材協力:Steve Matthews.
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Christopher Condon