60年の歴史に幕、諏訪の公衆浴場が廃湯 利用者減と老朽化で
長野県諏訪市赤羽根の区営温泉「赤羽根町温泉」が約60年の歴史に幕を閉じ、現地で2日、廃湯の神事が行われた。かつては「芋洗い状態」になるほど混み合ったが、利用者の減少や建物の老朽化により1月31日で廃湯。神事には利用者ら約20人が集まり「もうお風呂で会えなくなっちゃうね」などと惜しんだ。 【写真】利用者の減少で厳しい収支になっている諏訪市内の公衆浴場 赤羽根町温泉は1965(昭和40)年、地域住民の声を受けて造られた。諏訪市水道局から給湯を受け、温泉だけでなく野菜や食器、服を洗う「くみ湯」にも利用。開湯時は赤羽根区中の人が利用していたが、この10年で一気に減り、最終的には約10分の1程度の15戸になった。 神事では、利用者らが施設前で手を合わせたり、浴槽や洗い場にお神酒をまいたりした。温泉の目の前に住み、3歳から入り続けてきた両角浩志さん(61)は「泳いで怒られたこともあった。諏訪の財産だし生活の一部なので(廃湯は)寂しい」と話した。 諏訪市上諏訪地区は赤羽根町温泉のような区営温泉などの公衆浴場が多い。近年は利用者が減っていることから廃湯が続き、市水道局によると、公衆浴場への給湯件数は2022年度までの10年間で9件減り、39件となった。