「有吉弘行の脱法TV」企画・演出の原田和実 フジテレビ入社5年目が目指す「見たことのない番組作り」
演者ありきではなく、企画の時点で80点を目指す
――初めて企画・演出を手掛けた「ここにタイトルを入力」(2021年~)は、若手のトライアル枠ということで、ターゲットなどのオーダーがなく、自由に個性を発揮できたと思うのですが。
原田:ありがたいことに、ゼロから最後まで自分の好きなようにやらせてもらいました。企画としては、それまで自分がテレビを見ながら抱いていた違和感がアイデアのもとになっていて、初めての企画・演出だったこともあり、その違和感と破壊衝動のようなものを結びつけて、言語化していく作業でした。
――テレビは良くも悪くも強固なフォーマットによって成立している番組がほとんどなので、破壊しがいがありますよね。
原田:僕自身そこまで熱心にたくさんのテレビ番組を見てきたわけではないので、そんな僕でもイメージできる範囲のテレビ像をネタにするということは意識していました。逆に、もし僕がコアなテレビ視聴者だったら、企画がニッチになりすぎていた可能性もあると思います。
――ちなみに、「ここにタイトルを入力」の中で、原田さんの個人的なお気に入り回は?
原田:霜降り明星のせいやさんを主役にした「その恋、買い取ってもいいですか?」ですかね。あまり自分の番組を見返すことはないんですけど、この回は何度か見返しちゃっています。シンプルに「恋愛を買い取る」という、あまりにもテレビでやってそうなコンセプト感が大喜利の回答として気に入ってます。
――番組を作る立場から見て、やはり芸人さんは演者として欠かせない存在ですか。
原田:重要な役割を担っていただくことが多いので、ものすごくリスペクトしています。そもそも、自分の企画の立て方として、出演者の方の力量ありきではなく、まずは企画の段階で80点くらいは目指せたらなと思ってるんです。枠組みやフォーマットだけで、ある程度まで笑えるものにはなってるよね、という。その企画をもとに、現場で出演者のみなさんの力をお借りして、100点満点中200点を狙っていけるような感覚。企画者である自分はあくまで趣旨を説明することまでしかできないので、それを出演者の方、特に芸人さんが、より分かりやすく、おもしろく、「伝えたいこと」を「伝わるもの」に仕上げてくれるイメージです。