ディズニープラスのオリジナルファンタジーに見る“挑戦”と“王道”。「ワンダーハッチ」の注目ポイントとは?
ディズニープラス「スター」で「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」が独占配信中だ。本作は、“実写”で描く現実世界と、“アニメ”で描く異世界ウーパナンタを舞台に繰り広げる、オリジナルファンタジー・アドベンチャー大作。イマジネーションあふれる世界感や個性豊かなキャラクターにドラゴン、ゲーム好きにも刺さりそうなガジェットデザインなど、ファンタジーに欠かせない王道要素が満載!ファンタジーを愛するユーザーの琴線を刺激する、本作の見どころを紹介しよう。 【写真を見る】赤髪&赤刀を構える新田真剣佑は、まさにファンタジー作品の王道イケメンキャラ! ■孤独な少女の前に異世界から”ドラゴン乗り”の少年が現れた! 父親と暮らすナギ(中島セナ)は、クラスでは少し浮いた17歳の高校生。唯一心許せるのは親友のソン(エマニエル由人)だけだった。そんな彼女の前に、崩壊しつつある異世界ウーパナンタから少年タイム(奥平大兼)と相棒のドラゴン、ガフィン(声:武内駿輔)が現れる。彼は、ナギたちの現実世界に迷い込んだドラゴン乗りの英雄アクタ(新田真剣佑)を探しに来たという。 主人公ナギは、漫画家だった亡き母への想いを引きずっている少女。幼いころから音に色が付いて見えたり、不思議な夢を頻繁に見ることから「不思議ちゃん」扱いされ、いつしか他人と距離を置くようになった。一方のタイムは、人を信じ常に夢や希望を忘れない純粋な少年。邪悪な者ジャイロ(声:津田健次郎)によって崩壊しつつある故郷ウーパナンタを救うため、行方不明のアクタを追ってナギたちの世界にやって来た。「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」はそんな彼らが家族や親友と共に大冒険を繰り広げる、王道のファンタジー作品となっている。 ■この作品のために作られた言語も!作り込まれた“異世界”ウーパナンタの世界観 本作はナギたちが暮らす“現実世界”とタイムたちの“異世界”ウーパナンタ、2つの世界の出来事が交錯しながら進行していく。ファンタジーの魅力といえばその世界観にある。ウーパナンタは、2つの太陽を持つ小さな惑星。海が毒に冒されたこの星で島々は宙に浮き、人々は空飛ぶ船やドラゴンに乗って行き来する。ファンタジーならではのイマジネーションあふれるロケーションだ。ウーパナンタで神として崇められているミステリアスな存在ピュトンピュト、そこから得られる不思議なエネルギー体のイイドといった独自の文化だけでなく、使われている言語もこの作品のために作られたオリジナルだという凝りよう(キャスト陣の滑らかなセリフ回しにも要注目)。 独特の固有名詞も次々に登場するため把握できるか不安になる人もいるかもしれないが、映像やセリフの端々でしっかり補足されているので迷子になることはないだろう。2~3時間で完結する映画とは異なり、細部まで作り込まれた異世界に浸りきれるのはドラマシリーズならではの強みである。 ■ドラゴンと特別な絆を築くドラゴン乗りたちによる大迫力の空中バトル 不思議な世界の住人たちも、ファンタジーの重要なエレメント。ウーパナンタには人間のほか、頭が動物で体が人の半人半獣、二足歩行の動物、さらにメルポンなる謎のゆるキャラ風の生き物など多彩な種族が共存している。 そんななか、ひときわ存在感を放っているのがファンタジーの鉄板キャラ、ドラゴンだ。本作に登場するのは、角を持ち巨大な翼で空を飛ぶ定番のスタイル。しかし姿形やサイズは個体によって違っており、同じ種は2匹といない神聖な生き物と設定されている。彼らはドラゴンの声を“聴く”ことができるごく一部の者たち意思を通わせ、“ドラゴン乗り"として特別な関係を築いていく。 雄大な飛行シーンはもちろん、大迫力の空中バトルなど見せ場も多く本作を象徴する存在として活躍する。ウーパナンタの暮らしの端々にもその意匠が見てとれる。なお半人前のタイムはドラゴンの声を聴くことができないが、相棒ガフィンが彼の心を読むことで絆を結んでいて、その理由が物語の鍵となって生きてくる。 ■運命を変えるボーイ・ミーツ・ガールのストーリー 崩壊しつつあるウーパナンタを救うため、現実世界に迷い込んだアクタを探しに来たタイム。そんな彼がこちらの世界に現れた場所が、ナギの自宅の一室だった(そこには重大な秘密が隠されているのだが…)。ナギはタイムのまっすぐな想いに心を打たれ、アクタ探しに協力する。心地よい自分の世界でまったりと過ごしていたナギとソンが大冒険に巻き込まれ、そのなかで成長していく展開は王道の青春ストーリー。時に傷つき、対立しながら大切なものを見つける彼らの姿に思わず声援を送りたくなる。主人公ナギを演じるのは「ポカリスエット」のCMで一躍話題となった中島セナ、タイムには人気コミックを実写化した『君は放課後インソムニア』(23)で絶賛された奥平大兼。注目の若手俳優によるフレッシュな共演で贈る、ナギとタイムのほろ苦いボーイ・ミーツ・ガールのストーリーにも注目してほしい。 一方で、アクタ役の新田真剣佑は、赤い髪にバンダナというウーパナンタファッションで、ダイナミックなソードアクション、ドラゴンに跨ってのライドバトルと、ハリウッド作品にも負けないアクション&スタントを熱演。ファンタジーならではの見せ場を一手に担う、大活躍を披露する。その端整なマスクは、実写、アニメを縦横無尽に行き来する本作にぴったりだ。 本作のヴィラン、ジャイロにも注目したい。ウーパナンタの破壊を目論み、歴代のレジェンド級のドラゴン乗りを次々に撃破してきた無敵の存在。アーマーに身を包んだデザイン、憎々しげな言葉、謎めいたその目的など“ザ・ラスボス”と呼ぶべき究極の存在だ。 ■“実写”と“アニメ”で描かれる2つの物語 本作の最も特徴的な要素と言えるのが、現実世界を実写、ウーパナンタはアニメーションで描くというメディアをまたいだ構成にある。作品全体の監督を務めるのは、窪田正孝主演の『東京喰種 トーキョーグール』(17)で、コミックの世界を見事実写世界に翻訳し絶賛された萩原健太郎、アニメパートの監督が劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』(19)の大塚隆史、そしてアニメ制作をProduction I .Gが担当。さらに、キャラデザインとコンセプトアートを人気イラストレーターで漫画家の出水ぽすか(「約束のネバーランド」など)が手掛けるなど、豪華制作陣がこの挑戦的な作品のために集結。実写とアニメの合わせ技作品はディズニーの『魔法にかけられて』(07)ほかこれまでも少なからず存在したが、本作は両者の比重がほぼ同じになっている。並行に進んでいた2つの世界の物語は、やがてリンクし新たな世界を生みだしていく。 アニメで描かれたウーパナンタの人々は、現実世界に到着すると実写へと転生する。劇中には、実写化したタイムたちがウーパナンタを回想するシーンがしばしば挟まれているが、実写とアニメで同じキャラを交互に映しだし、そこが実にシームレスなのだ。担当声優は実写の俳優と同じで、キャラデザインも俳優にリンクしているうえ、巧みな編集も手伝って実写とアニメが一体になった独特の世界を作り上げている。 ■心躍るファンタジー世界を描きだす「ワンダーハッチ」 童心に帰るような、ワクワクする世界観や魅力的なキャラクターを、ハイクオリティなビジュアルで実現した本作。ファンタジーとして、なによりエンタテインメントとして最高の布陣が集結した「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」の魅力にたっぷり浸ってほしい。 文/神武団四郎