藤井聡太棋聖、史上最年少「永世」王手! 山崎隆之八段の意表を突く「向かい飛車」にも動じず/将棋
将棋・ヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負第2局(17日、新潟市・高志の宿、高島屋主催・産経新聞社、特別協賛ヒューリック)先手番の藤井聡太棋聖(21)=名人など8冠=が、挑戦者の山崎隆之八段(43)に111手で勝利。開幕2連勝で、5連覇と「永世棋聖」の資格獲得に〝王手〟をかけた。相手の持ち味である独創的な指し手をかわしながら、終始主導権を握って完勝。偉業達成をかけた注目の第3局は7月1日に地元の愛知県で指される。 【表でみる】藤井棋聖と山崎八段・比較表 最高気温28度、カラッとさわやかな気候となった新潟での第2戦。藤井棋聖は冷静に読みを深めて勝利を収めた。「早い段階で予想していない展開になった」が、若き第一人者は相手の変化球にも動じなかった。 約260年の歴史を誇る老舗料亭旅館で迎えた第2局は、序盤から独創性が持ち味の山崎八段が意表を突く展開。14手目△2二飛。飛車を相手の飛車と向かい合うように振る「向かい飛車」で臨んできた。さらに38手目△4五桂は、立ち会いの中村修九段(61)らモニターで戦況を見つめる棋士らを〝山崎八段らしさ〟で驚かせた。 が、意外な手にも戸惑うことなく、藤井棋聖は45手目▲3五歩、49手目▲4六歩の波状攻撃で主導権を握る。その後は攻めながらも自陣を固める鮮やかな指し回し。相手を先に1分将棋へ追い込み、最後は111手目▲4四金を打ち込んだ。藤井棋聖は▲3五歩の場面について「相手に押さえ込まれると自信がないので、こちらの玉が堅い(守りの)うちに仕掛けたかった」。勝負どころととらえたようだ。 対局後、両者は約100人のファンが待つ大盤解説会であいさつ。藤井棋聖は温かい拍手で迎えられるとホッとした表情を浮かべ、全8冠保持をかけた大一番、20日の第9期叡王戦第5局に自ら言及。「いい将棋を指せるように、一生懸命やりたい」と約束した。 「高島屋」がある岩室温泉は開湯300年。藤井棋聖も2022年の第93期棋聖戦から毎回、黒色の源泉「黒湯」に癒やされており、温泉パワーで5連覇と最年少での永世称号資格獲得に王手をかけた。「そのことは意識せずに、次は(不利とされる)後手番なのでしっかり準備したい」。この勢いで叡王戦を乗り切り、棋聖戦第3局で地元愛知に堂々乗り込む。(山内倫貴)