エアドロップ「ポイント」の良さ、悪さ、そして醜さ
タダでもらえるお金が欲しくない人はいないだろう。 ブロックチェーンアプリケーションの利用を奨励するために、やがて価値あるものと交換できるかもしれないポイントを提供する、いわばロイヤルティプログラムとも言えるものは、私たちの脳の原始的な部分、つまりギャンブルに対する本能的な欲求を利用している。 このドーパミン作動性システムは、私たちの祖先がリスクを取ることを助け、今の我々をもたらした。ハイリスク・ハイリターンの行動がなければ、我々はこのテクノロジーの黄金時代にはいなかっただろう(そして我々は、そんなテクノロジーを1000TPS:トランザクション/秒でミームコインを転売することに使っている)。 人生を変えるような大金を手にした普通の人の話は、「もしも~~ならどうなる?」という内なる対話を促す。「みんなが大金持ちになっているのに、自分はそうでない」と感じたとき、我々は「FOMO」(機会を逃すことへの恐怖:Fear of Missing Out)に襲われる。 エアドロップは多くの人にとって割りに合うものとなってきた。しかし、プロジェクトは「ポイント」のグロースハックの可能性と最近のトレンドに目をつけ、そのプロセスはすでに悪用されている。 開発者たちは自分たちが何をしているのかわかっているし、我々も彼らが何をしているのか知っているし、彼らは我々が彼らが何をしているのか知っていることを知っている。今日のポイントは略奪的で、怠惰で、実際には単なるギャンブルだ。
エアドロップ普及の歴史
ポイントを理解するには、その成り立ちを理解することが重要だ。 流動性マイニングはコンパウンド(Compound)によって開拓され、2020年の「DeFiの夏」の幕開けとなった。コンパウンドでの貸し借りは、COMPトークンを介してインセンティブが与えられた。 まもなく、10ほどのプロジェクトが独自の工夫を凝らして同様のインセンティブを提供した。そのうちの1つであるスシスワップ(Sushiswap)は、独自のSUSHIトークンで流動性提供(LP)にインセンティブを与え、まだ独自のガバナンストークンをローンチしていなかったユニスワップ(Uniswap)に「ヴァンパイアアタック(新規プロジェクトが既存プロジェクトからユーザーを奪おうとより良いインセンティブを与えること)」を行った。 これが、ユニスワップにUNIトークンをローンチする圧力をかけ、ユニスワップは初期ユーザーを対象に遡及的なエアドロップを実施した(新型コロナ対策のためのアメリカでの給付金よりも金額が大きかったため、「イーサリアムの景気刺激策」だと冗談を言う人もいた)。 UNIのエアドロップが広範囲に届いたことは、DeFi(分散型金融)の大きな起爆剤となり、多くの新規ユーザーを惹きつけた。トークンをエアドロップするというこれと同じプロセスは、その後も多くの異なるチェーン上の、多くの異なるプロトコルによって、さまざまなバリエーションでコピーされてきた。 そして2022年、ポイントのパイオニアとしてBlurが登場した。ユーザーはマーケットプレイスでNFTを取引することでポイントを獲得できる。獲得基準を不透明なものにすることで、実際の利用を優先し、ポイント獲得を抑制することができた。Blurが驚異的な成功を収めたことで、あらゆるプロジェクトがポイントプログラムを導入するまでに時間はかからなかった。 よくある誤解は、DeFiのポイントは航空会社やホテル、カフェが提供するロイヤルティポイントの進化系だというものだ。DeFiプロジェクトもカフェも「ポイント」と呼んでいるからといって、同じものというわけではない。 歴史も使い方も大きく異なるため、別々の分類となる。一方は敷居の低いロイヤルティプログラムであり、もう一方は意図的に誇大広告を利用し、指標と手数料をつり上げようとしている。