衆院選の投票所で用紙が発行されず比例区の投票ができなかった? 東京で報告事例はない【ファクトチェック】
2024年10月27日の衆議院選挙で、東京の投票所にある投票用紙交付機のシステム障害で投票用紙が出てこず、比例区投票ができなかったという言説が拡散しましたが、根拠不明です。選挙管理委員会にはトラブルの報告は入っていません。
検証対象
2024年10月27日、「東京に住んでいる友達が、投票に行ったら、小選挙区は投票できたけど、比例票はシステム障害で投票用紙が出てこないから、投票できずに帰ってきたとか…そんなことってありえるの?比例票が重要なんじゃないの?」という投稿が拡散した(現在投稿は非公開)。 投稿には多くのリプライが寄せられ、東京7区(渋谷区・港区)について、比例代表の投票用紙が発行されなかったという情報が出回った。東京都議2人がそのような事態は確認されていないと反応している。
検証過程
東京都選管「そうした事実も報告もなかった」 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、拡散した投稿2と投稿3について東京都選挙管理委員会(都選管)に問い合わせた。 都選管によると、10月27日に東京7区を管轄する渋谷区と港区の各選挙管理委員会に確認したが、システム障害で比例代表の投票用紙を交付できなかった事例について、「そうした事実も報告もなかった」と回答した。「都選管にもそのような報告は来ていない」という。
東京以外ではトラブル事例も
今回の衆議院選挙では、システム不具合などで投票が一時できない事例や交付漏れの事例が各地であった。ただし、JFCが確認する限りで10月28日現在、東京都の選挙区で有権者への投票用紙の交付漏れのニュースはない。 10月26日には、兵庫県神戸市内28か所の期日前投票所で、本人確認用のバーコードを読み取れないトラブルがあり一時的に投票ができない事態になった(NHK)。NHKによると、トラブルが発生していた20分ほどの間に投票できずに帰った有権者もいたという。 また、2024年10月20日には岡山県総社市の期日前投票所で、投票用紙交付機の紙詰まりトラブルがあった(KSB)。このトラブルで有権者1人に小選挙区の用紙を交付できなかったという。 山口県周防大島町では10月23日、期日前投票会場で有権者1人に対して比例代表と国民審査の用紙の交付漏れがあった(NHK)。三重県東員町でも10月26日、有権者1人に対して比例代表と国民審査の用紙の交付漏れがあった(産経新聞)。
判定
「東京の選挙区でシステム障害のため投票用紙が発行されず比例票を投じられなかった」という言説は、根拠不明。都選管によると、そうした報告はなかったという。ただし、東京以外では、全国各地でシステム不具合による投票への障害や交付漏れの事例があった。 検証:リサーチチーム 編集:宮本聖二、古田大輔 判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。