”せっかち”なオーナーもF1の難しさを理解? アストンマーティン元代表「レベルが非常に高いことを忘れてはいけない」
アストンマーティンの元チーム代表マイク・クラックは、オーナーであるローレンス・ストロールが成功への「焦り」を持っているにもかかわらず、F1の頂点に到達するまでの難しい道のりを理解し、サポートしてくれていると主張した。 【動画】「勝利のために全力を尽くす」レッドブルF1代表、ホンダとのラストイヤーに向けて意気込み語る カナダの実業家であるストロールは、資金難に喘いでいたフォースインディアを救済し、チームを取得。レーシングポイントを始動させた。その後イギリスの高級自動車メーカーであるアストンマーティンの大株主となり、レーシングポイントの名称もアストンマーティンに変更することになった。 アストンマーティンをF1に復帰させて以来、シルバーストンに本拠を置くチームは、エイドリアン・ニューウェイ(2025年3月に正式加入)といった大物を含む人材の獲得や、2026年からのホンダとのパートナーシップ締結、そして最新鋭ファクトリーの建設という形で急速な規模拡大を遂げてきた。 2023年シーズン序盤にはフェルナンド・アロンソが表彰台を続けて獲得するなど、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)のライバル最有力となるパフォーマンスを発揮したが、以後のマシン開発はライバルに後れを取り、コンストラクターズランキングでは5位に甘んじた。2024年もランキング5位を維持したが、獲得ポイントは前年から大きく減った。 チームの再編により、チーム代表からチーフ・トラックサイドオフィサーに”配置転換”されるクラックは、ローレンス・ストロールのプロジェクトに対する見解について次のように語っている。 「彼は協力的であり続けている。特に、彼によるリクルートを見ればね」 「彼は『もっと助けが必要だ。もっと専門知識(を持った人材)が必要だ』と言っていて、それを実行に移しているように見える。それが彼の特徴だと思う。彼はうまくやりたいし、サポートしたいし、助けたいと思っている」 「彼はせっかちでもある。それは理解できるが、彼のサポートとせっかちさが組み合わさり、F1がいかに難しいかを理解した結果……私は時間がほしいとは言わないが、カギを回すように簡単にはいかないことも理解してほしい。全てを適切に配置し、それが機能しなければならないんだ」 「彼は最近、『これは私が経験した中で最も複雑なプロジェクトだ』と言ったと思うが、彼も正しいボタンを押したいんだ。多くの人間が関わっているし、大きなタスクなんだ」 「忘れてはならないのは、F1は競争率が非常に高く、厳しいということだ。グリッドに悪いチームはない。新しいチームができる2026年にはそれがわかるだろう。私が言ったように、レベルは信じられないほど高く、みんな常にスポットライトを浴びたいと考えているからだ」 マシンのアップデートが思い通りにいかなかったときの状況について、クラックはこう付け加えた。 「我々の現状はこうなのだから、可能な限りベストを尽くさなければならない。ローレンスはサポートしてくれるが、野心家でもあるんだ」 クラックは以前から、近年の不本意なシーズン展開に対する解決策を見つけるためにはチームが自己批判的でなければならないと認めている。 「レースや予選でのラップタイムの差を見ると、全チームが0.8~0.9秒差の中で競っている。 チームのレベルというのは、タイヤが正しいウインドウにあったかとか、そういうオペレーションやニュアンスの問題なんだ」 「信頼性は非常に高く、表に出てこないことも多い。巨大なチームの大部分がその責任を負っている。レベルが非常に高いから、1位と2位、5位と6位という差がそこで生まれるのだ」
Ewan Gale, Alex Kalinauckas