米、中国レガシー半導体の新たな調査開始 トランプ政権に引き継ぎ
David Lawder [ワシントン 23日 ロイター] - バイデン米政権は23日、中国製の「レガシー半導体」に関する調査を開始すると発表した。トランプ次期大統領が計画する対中関税の導入に迅速な道を開く可能性がある。 政府当局者によると、通商法「301条」に基づく調査で、来年1月に発足するトランプ政権が完了までのプロセスを引き継ぐという。 バイデン政権はすでに中国製半導体に50%の関税を課すことを決め、来年1月1日に発効する。 今回発表した調査は、自動車や電化製品などに幅広く搭載されている、旧式で成熟した製造プロセスを用いた半導体が対象。人工知能(AI)向けの先進的な半導体などは含まれない。 米通商代表部(USTR)は、国家主導による中国製半導体の大規模な供給拡大から、米国などの市場主導型半導体メーカーを保護することが調査の目的だと説明した。 USTRのタイ代表は、中国が鉄鋼やアルミニウム、太陽光パネル、電気自動車(EV)、重要鉱物の分野で影響力を拡大したように、半導体産業でも世界的な独占を狙っている証拠があると指摘。 「これにより、中国企業は生産能力を急速に拡大し、人為的に価格を低く抑えた半導体を提供することが可能になり、市場主導の競争を大きく損なったり、排除したりする恐れがある」と述べた。 官報によると、来年1月6日から調査に関する一般の意見を受け付け、3月11─12日に公聴会が予定されている。 レモンド米商務長官は23日、調査によると、半導体を使用した米国製品の3分の2は中国製のレガシー半導体を使っており、防衛産業を含む米国企業の半数は半導体の原産地を知らなかったと説明した。 中国商務省は声明で、米政府の半導体調査は「保護主義的」であり、米企業に打撃を与え、世界の半導体サプライチェーンを混乱させると指摘。中国の権利と利益を断固として守るため、あらゆる必要な措置を講じるとした。 トランプ氏の政権移行チームの広報担当者はコメント要請に応じていない。 米国のハイテク業界を代表する業界団体である情報技術産業評議会(ITI)は、今回の調査は世界経済とサプライチェーンに複雑かつ広範囲な影響を及ぼす可能性があるとして、USTRに対し、結果を予断しないよう求めた。 ITIのジェイソン・オックスマン会長は声明で、政権移行期に調査が開始されることに懸念を示した。 米国のスマートフォン、パソコン、ビデオゲーム機など電化製品の大半は、現在も中国から輸入されている。 バイデン政権関係者は、中国からの輸入半導体そのものが与える影響を調査するだけでなく、防衛、自動車製品、医療機器など重要産業向けの川下部品や最終消費財への組み込みについても調査すると述べた。