マーリンズ対ドジャース　9回表ドジャース2死一、二塁、右越えに3点本塁打を放ち、ナインに迎えられる大谷（撮影・菅敏）

＜マーリンズ4－20ドジャース＞◇19日（日本時間20日）◇ローンデポパーク 　【マイアミ（米フロリダ州）19日（日本時間20日）＝斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手（30）が、本人もびっくりのド派手なパフォーマンスで前人未到の大記録を達成した。マーリンズ戦に「1番DH」で出場し、6打数6安打10打点。1回に三盗を決め50盗塁に到達すると、2回には51個目となる二盗を決めた。6回に49号2ラン、7回に50号2ランと重ね「50－50（50本塁打＆50盗塁）」に到達。さらに9回の第6打席で内野手ブルーハンから51号3ランを放った。初の1試合6安打、10打点、3打席連発と初物づくしで、チームも20点の大勝。マイアミの歓喜再来－。大谷劇場で、歴史的な1日を彩った。 【動画】大谷翔平、３打席連発で一気に「51－51」に到達 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　歴史を刻む白球が、快音を響かせて飛んでいった。7回2死三塁。マーリンズ・バウマンのナックルカーブだった。大谷は左翼への放物線を見上げ、本塁打を確信した。すぐに自軍ベンチを見て、叫んだ。敵地のファン、チームメート、みんながバンザイで喜んでいた。もう1度、「カモーン」と大きく口を開けた。高ぶる感情を抑える理由はない。鳴りやまない拍手と歓声を浴びながら、にっこり笑い、同僚と抱き合い、歓喜の余韻に浸った。 　「今日、本当に勝てて良かったですし、早く決めたいなっていうのがあったので。一生忘れられない日になるかなと思います」 　こんなことが、あるのか…。何度も見る者の想像を超え、驚かせてきたが、この日ばかりは“自分も”だった。「これだけ打てたことは多分人生でもないので。自分が一番びっくりしてる感じ」。1試合初の6安打、3発10打点。4打席目から3打席連続アーチで「50－50」どころか「51－51」に到達した。「みんなすごく喜んでくれた。思い出になる1日だった」。16安打20得点の大勝に導き、お祭りの主役になった。 　大谷のすさまじいパフォーマンスに、敵地で鳴り響くMVPコール。どよめきも止まらない。50号2ランの直後、カーテンコールに応え、ベンチから出て熱狂に包まれるスタンドに手を振った。試合は一瞬中断。その時間をつくってくれたマ軍側に感謝するようなしぐさを見せたのも、らしさ全開だった。新たな歴史を刻み「うれしいと安堵（あんど）と、それと同時に記録を作ってきた先輩方へのリスペクト、そういう気持ちです」と謙虚に語った。 　もっとも、その捉え方は少し違った。「今までの記録はやってる人が少ない中での記録が多かったと思うので、比較対象が多い中での新しい記録っていう意味では、自分にとっても違いはあるかなと」。投打の二刀流では唯一無二、史上初の枕詞（まくらことば）が並ぶことも多い。だが、約120年の歴史で打者として初の偉業は特別。先人の大打者たちに敬意を示しつつ、胸を張った。 　昨年3月21日、WBCで侍ジャパンを世界一に導いたマイアミで、歓喜が再来した。「一生忘れないと思いますし、去年もそうでしたけど、いろいろプレーしてきた球場の中で、すごく好きな球場になったんかなと思います」。劇的すぎる形で決めた大偉業。大谷翔平にしかできない物語を、またしても作ってみせた。