COP29合意達成に懸念、米大統領選トランプ氏勝利で
[ワシントン 7日 ロイター] - 5日の米大統領選でのトランプ前大統領の勝利を受け、気候交渉担当者らは、11─22日にアゼルバイジャンのバクーで開かれる国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)の開催を前に、新たな資金調達目標を巡る強力な合意の機運が弱まったと懸念している。 米国の気候変動対策への姿勢が弱まれば、地球温暖化抑制の国際的な取り組みにおいて欧州と中国の確固とした対応が不可欠となる。 トランプ氏は気候変動をでっち上げだと主張し、2期目の大統領就任直後に気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱する計画と述べている。 欧州連合(EU)と米国は、中国や原油で潤う湾岸諸国に対し、国連の気候変動対策基金への拠出を促す予定だった。 欧州改革センターの上級研究員エリザベッタ・コルナゴ氏は「米国の参加なしに、より野心的な気候変動対策資金の拠出を促すことはほぼ不可能だ。途上国が西側諸国の気候変動対策への意欲を真剣に受け止めなくなるだろう」と指摘した。 ドイツのジェニファー・モーガン気候変動問題担当特使は、受け入れ可能な結果を確保するために、気候変動対策資金に関する議論で主導権を維持するのはドイツとEUの役割だと述べた。ただ、首相府の報道官は7日、ショルツ首相は国内の政局を理由に出席をキャンセルしたことをロイターに認めた。 米国の複数の州や都市は、パリ協定の目標に向けての取り組みを巡り他国への働き掛けを計画。トランプ政権1期目にパリ協定から脱退した後に結成された複数の団体が代表団を派遣する予定。