休日に一斉メール、全員CCしていませんか…欧米で法制化される『つながらない権利』日本への導入は?専門家は「通信技術の発達で、気の休まる暇がなくなった」【MBSニュース解説】
休日に「全員CC、一斉メール」していませんか
――日本の現状です。「勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡が来ることがある」と答えたのは72.4%、コロナ前より8.2ポイントアップしているということです。 また「繋がらない権利によって、勤務時間外の連絡を拒否できるのであれば、そうしたいと思う人」が72.6%と高い水準です。
繋がらない権利を実現するためには…細川教授に聞きますと、そもそも「権利の目的は、『労働者の健康』、『生産性の向上』で、これを果たすためには法律がなくても、他にできることがあるのではないか」と。まずは企業側・労働者側とも意識改革が必要だということです。 例えば休日なのにCCに全員を入れたりしていませんか?「無駄なメールをやめましょう」「一斉送信してませんか?」「連絡して大丈夫な休日」、「絶対にしないで欲しい休日」を設定するのはどうかというお話です。そして、「生産性の向上」は、自分の仕事に集中するために勤務時間内でも繋がらない時間を作るべきだです。
仕事が滞ってしまう可能性は?細川教授「欧米より日本が…」
(青山学院大学法学部の細川良教授)フランスで繋がらない権利が議論されたときに、一番大事なのは『意識改革』で、啓発とか教育が一番大事だと言われていました。やはりどうしても仕事が優先で、ついついやってしまうということがあるので。 そういう考え方をまず変えていくのが大事だということ、もう一つ大事なことは、フランスでは技術が発達して便利になったはずが、そっちに振り回されて、かえって効率がおかしくなっていることはよくあるので、技術の革新に向き合って、より良い働き方を目指しましょうという考え方を持つことが大事なのかなと思っています。 ――仕事が滞ってしまう可能性もあるのではないかという指摘に関して細川教授は、「欧米より日本の方がうまくいく可能性がある」ということです。欧米は個人個人で仕事をきっちり分ける、日本は同僚の仕事をフォローする感覚が根強い。こういう国民性もあって滞ってしまう可能性はちょっと低いんじゃないかということです。 (青山学院大学法学部の細川良教授)日本の方がそういう意味ではフォローの仕組みさえ作ってしまえば、うまくいくと思います。それからやっぱりルールを作らないと、『声を上げた人だけ得をする』ということになってしまいがちなので、公平感を確保するためにも、法律である必要は必ずしもないと思いますが、各企業内でのルールを作って、同じように行き渡るようにする発想が大事だと思いますし、消費者も含めた意識改革が大事だというのも、全くおっしゃる通りだと思います。(2024年3月5日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より) ◎細川良:青山学院大学法学部教授 労働法が専門で「つながらない権利」に詳しい