「月末までに有休2日取ってね」と言われました。有給休暇を指示することは違法にならないんでしょうか?
上司から「月末までに有休2日取ってね」と言われたら、有休を取らなければいけないのでしょうか? 本記事では、有給休暇の取得に関する法律上の規定と、上司への対応策を紹介します。有給休暇にまつわる悩みを解消して、気持ちよく有休を取得して、仕事とプライベートのバランスを整えましょう。 ▼有給休暇の取得に会社の許可は絶対に必要?「繁忙期」でも取得できるの?
有給休暇は上司に指示できる?
上司が「月末までに有休2日取ってね」と伝える場合に、法的権利とはどのように結びつくのでしょうか。労働基準法の規定と、上司の指示との関係性について考えてみましょう。 ■上司が有休を指示しても違法にならない場合がある 労働者が有休を規定日数取得しない場合に、会社側から指示することができます。2019年に改正された労働基準法の有休取得に関する規定は、以下の通りです。 ・法定の年次有給休暇日数が10日以上の全ての労働者に対して、毎年5日間、年次有給休暇を確実に取得させることが必要 これに合わせて「使用者による時季の指定」すなわち使用者(以降、会社)が有給休暇取得を指示することが可能となりました。「時季の指示」とは、会社が取得日を指示するという意味ではありません。会社は労働者の意見を聴取して、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるように、意見を尊重する必要があります。 日本は有給休暇の取得率が58.3%と低いため、厚生労働省が会社へ義務付けた有休取得促進の対策として、2025年までに有休取得率を70%にする目標を掲げました。 ■年間5日の有休を取得していれば上司の指示を受ける義務はない 会社側が、労働者の有給休暇を指示できる場合は限られています。例えば、有給休暇が年10日以上付与されており、すでに年間5日の有休を取得している労働者は、会社からの指示で有休を取る必要はありません。加えて、年5日の有休を取得している労働者に対して、会社側が有休を指示することもできません。 そのため「月末までに有休2日取ってね」と言われた場合は、おそらく年5日の有休を取得しておらず、会社側が労働基準法を守るために出された指示と考えられます。 ■有休を5日以上取得しているのに上司が指示をしてきたら 有給休暇は労働者の権利である一方、会社も有休を取得させなければ罰則が科されるため、有休の適切な取得が双方にとっても重要です。 会社が年5日の有給休暇を取得させなかった場合は、労働基準法第120条に規定される通り、労働者1人の違反につき30万円以下の罰金が科されます。そのため、まずは、自分が認識している取得済みの有休日数と、上司が把握している日数に相違がないかを確認しましょう。