洞春寺に6メートルの「令和の大仏」お目見え、コロナ契機に設置【山口】
身体部に人々が願い託したミニ大仏
コロナ禍を機に日本を元気づけようと作られた「令和の大仏」が、山口市水の上町の洞春寺(深野宗泉住職)にお目見えした。木製で、高さ6㍍の大仏像の身体部には手のひらサイズのミニ大仏が並び、疫病の鎮静、平和や希望への願いなど多くの人の思いが託されている。 新型コロナの感染者が拡大した2020年、奈良・東大寺の大仏に天下泰安と疫病退散の願いが込められていることから、兵庫県尼崎市のアーティスト前田真治さん(48)と北海道札幌市の僧侶で芸術家の風間天心さん(45)が「大仏造立プロジェクト」を始動。コンクリート製の小さな仏像に自由に色を塗ったり紙などを貼り付けてもらうワークショップを合わせた全国勧進キャラバンを開催。大仏は23年に完成し、札幌市で披露された。 その後、同市内で解体・保管され、安置場所を探していたところ、仕事の縁で知り合った深野住職(52)の人柄に引かれて同寺への移設が決まった。同寺は深野住職の「来るもの、拒まず」の考えの下、芸術家の滞在が多く独創的なイベントが開かれている。 8月31日に開眼供養が行われた。台風10号接近のため完成が間に合わず、法要中も作業が進められた。風間さんによると、あえて大仏の設置と入魂の過程を披露し、仏像の作り手にも目を向けてもらいたかったという。供養後、ミニ大仏を作るワークショップも行われた。 ミニ大仏が集まることで変化するのが最大の特徴という風間さんは「5000体以上を並べることができる。疫病や災害にとどまらず、人々の小さな思いを託してほしい」と期待。前田さんは「ネガティブな思いも託して手放し、世の中がよくなれば」と話した。 同寺では馬を飼育しており、コロナ大仏は境内の馬場に設置した。深野住職は「奈良の大仏と鹿に負けず、山口といえば大仏と馬となるくらい盛り上がるといい」と話した。 大仏は常設され、参拝客が作ったミニ大仏の奉納やイベントで活用するという。