駿河湾で新種発見! ゴカイの仲間、学名に「shizuoka」 東海大など
東海大海洋学部の田中克彦教授(底生生物学)らの研究グループはこのほど、静岡市の日本平沖の駿河湾で新種のゴカイの仲間を発見した、と発表した。日本唯一のサクラエビ漁業など県民に身近な駿河湾の生物多様性を改めて証明する発見で、昨年11月に学術誌に論文を発表した。駿河湾のある静岡にちなみ、学名に「shizuoka」を採用した。 新たに発見したのは、日本平沖の水深約50メートルの砂泥底。東海大海洋学部が所有する小型実習船「南十字」を利用して砂泥サンプルを採集した中に含まれていて、横浜国立大が電子顕微鏡で撮影した。和名は「フタマキケヤリムシ」とし、学名は「Euchonoides shizuoka(エウコノイデス・シズオカ)」と名付けた。 フタマキケヤリムシは体長2ミリ、体幅0・2ミリ。ケヤリムシのうち、腹部に腹巻き様の構造があるハラマキケヤリムシ属の1種。米ハワイ産や、日本海に面したロシア沿岸産のみが知られるハラマキケヤリムシ属の発見自体も今回初めてとなった。フタマキケヤリムシは腹部に腹巻き様の構造が二つ見られることから命名に至ったという。 田中教授によると、日本で最も深い駿河湾では、研究者の注目は深海に向かいがちだ。一方で、沿岸浅海域の海洋生物についての研究は断片的のままという。田中教授は「フタマキケヤリムシのような微細な種は環境の変化の中で存在を知られないまま絶滅してしまう可能性がある。今後も調査・採集を継続していきたい」と述べた。
静岡新聞社