【医師解説】痔の日帰り手術にかかる時間はどのくらい? 治療の流れを教えて!
日帰り手術の流れ
編集部: どのようにして、日帰り手術はおこなわれるのですか? 川﨑先生: 手術をする前に、まずは手術を安全におこなうことができるか確認する術前検査が必要です。具体的には、血液検査や心電図検査などをおこない、場合によってはレントゲン検査も追加します。そして、検査結果に問題がなければ日帰り手術に進みます。 編集部: 手術当日の流れについて教えてください。 川﨑先生: まずは坐薬などを使って排便し、直腸の中を綺麗な状態にしてもらいます。その後、麻酔をしてそれぞれの病態に即した手術をおこないます。当院では手術時の麻酔は、局所麻酔と静脈麻酔を組み合わせます。手術時間は手術の方法にもよりますが、だいたい20~30分です。 編集部: 手術後に痛みはありますか? 川﨑先生: 手術後、麻酔が切れると痛みを感じることがあるかもしれません。痛みを感じる度合いは個人差が大きいのですが、徐々に軽くなってきます。基本的に、日帰り手術でおこなえる範囲の手術では、それほど痛みを感じることはないと思いますが、鎮痛剤が処方されると思うので服用してください。 編集部: 手術後、気をつけることはありますか? 川﨑先生: 手術当日、入浴は可能ですが、場合によっては控えていただくこともあります。また、当日はなるべく安静に過ごしましょう。
日帰り手術後の注意点
編集部: 日帰りで痔の手術を受けた後、仕事にはいつ復帰できますか? 川﨑先生: 状況により、オフィスワークであれば基本的に翌日から復帰できます。ただし、個人差があるので、詳しくは担当医にご確認ください。 編集部: スポーツや運動はしてもいいのでしょうか? 川﨑先生: 状況によりますが、ウォーキング程度の軽い運動であれば翌日からおこなっても大丈夫です。しかし、激しいスポーツやいきむ運動は2週間くらい避けましょう。 編集部: トイレで気をつけることはありますか? 川﨑先生: 手術当日からトイレも普段通りおこなえます。温水洗浄便座も使用できますが、弱い水圧で使用しましょう。水圧を強くすると痛みや出血の原因になります。また、トイレでいきむことは避けてください。 編集部: そのほかにも、気をつけるべきことがあれば教えてください。 川﨑先生: アルコールや辛い食べ物は、術後1週間くらい控えてください。手術をしてから、だいたい1カ月経つと安定してきます。ただし、治療後も便秘や下痢には気をつけ、正しい排便の習慣を身につけるように意識しましょう。 編集部: 出血のリスクは、いつ頃まで続くのですか? 川﨑先生: 手術の種類にもよりますが、例えば痔核の手術で内痔まで切除した場合には、術後10日目までが最も出血の頻度が高いとされています。14日目までリスクが高く、その後少しずつ減少し、3週間を過ぎるとほとんど出血のリスクはなくなると言われています。そのため、術後3週間以内は出血に注意してください。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 川﨑先生: たしかに、日帰りで痔の手術を受けることもできますが、日帰り手術だからすぐに元の生活に戻れるわけではないということは覚えておいていただきたいと思います。安全を考えたら本来は入院しておこなうべき治療です。実際、日帰り手術の場合にはリスクを伴いますし、出血以外にも切除した箇所の近辺が腫れるなど、トラブルが発生することもあります。また、日帰り手術の場合には排便コントロールが上手におこなえず、術後の回復に影響が及ぶ場合もあります。痔の手術自体は非常に安全性が高く、危険なものであはりませんが、それより大事なのは術後の管理です。管理が上手くいかないと難治性の傷になることもあるので、もし日帰りで手術を受ける場合にはリスクがあることを十分理解した上で、信頼できる医療機関を選択してほしいと思います。