50周年の南海そば 名物「はしタワー」が生まれた理由は?
大阪・和歌山などで6店舗
南海そば「50年分の愛」とは?──。大阪市浪速区にある南海なんば駅をはじめ、駅ナカに6店舗を構えている「南海そば」。店内外には、店員が手間ひまをかけて作ったこだわりのダシの香が広く漂い、古くから多くの利用者に愛されている。そんな同店が50周年を迎えたという。
なぜ「はしタワー」が誕生したの?
南海電鉄などによると、同店は1966年になんば駅2階に第1号店が開店。食材にもこだわっており、手間ひまを惜しまずダシを仕込むなど、多くの利用者に愛されている。店舗はなんば駅構内の2店をはじめ、新今宮、三国ヶ丘、JR天王寺、そして和歌山市の各駅に出店している。 ところで「なんば」の2店でしか見られないが、カウンターにわりばしをつきさすように高々と積み上げている。これは「はしタワー」と呼ばれ、同店の名物として知られている。しかし、なぜこのように積み上げているのだろうか? 関係者によると、これは1966年の同店開店後、利用者が出入りするたびに、店員によるわりばしの補充が追いつかないことから、常に通常の「5倍」にも及ぶはしを積み上げて置いたことが、現在にも続いており、同時に名物になっていったという。
愛された名物で「運だめし」?
同店は開業50周年を記念し、この名物タワーを使った「運だめし」企画を行う。タワーのはしをひいて「愛」と書かれていればトッピング1品の無料券、「多すぎる愛」と書かれていたら、メニューからなんでも1品の「無料券」をもらえるという。 関係者は「当たりの確率は、100本当たり『多すぎる愛』が2本、『愛』が8本程度」と話す。さらに、この企画の期間中だけ、タワーを全店で実施するというから、さらに話題を呼びそうだ。 また16日からはトッピング10品がのった「具が多すぎるそば」を提供するなど、関係者は「もっともぜいたくな逸品です」と強い意気込みをみせる。
利用客「はしタワー見て『なんで?』と思ってた」
1966年といえば、ビートルズ来日旋風や初代ウルトラマンやマグマ大使の放送が始まっている。その4年後の1970年には大阪万国博覧会が開催されていることなどを思えば、同店50周年の歴史がどれだけ長いかも改めて感じることができる。 同店を取材で訪れていた時も、ひっきりなしに、あちこちで「そば」をすする音が店中に響いていた。大阪市内に住む30代の男性は「自分で電車に乗るようになった時から、ここのそばを食べていて『はしタワー』を見てはいつも『なんで?』と思っていた。前は占いもやってたと思うけど。愛をひいたらタダってすごいですね」と笑顔で話していた。 さて、この期間中、どれだけの人に「愛」がひかれるのだろうか。ちなみに、同電鉄のキャッチコピーをみてみると、なるほど...「愛が、多すぎる」だ。 (文/伊原薫/鉄道ライター) ■伊原薫(いはら・かおる)大阪府生まれ。京都大学大学院・都市交通政策技術者。(一社)交通環境整備ネットワーク会員。グッズ制作やイベント企画から物書き・監修などに取り組む。都市交通政策や鉄道と地域の活性化にも携わっている。好きなものは103系、キハ30、和田岬線、北千住駅の発車メロディ。