【独占インタビュー】小池百合子氏「混乱期こそ変革のチャンスだ」
「もはや派閥の時代ではない」と言われて久しい。ここはチャンスだ。「創造的破壊」の瞬間だろう――。2009年の小池百合子氏の指摘は、まるで現在の「派閥とカネ」の問題を予言していたかのようだ。都知事選への立候補を表明した現職が今だからこそ語る「派閥とカネ」と「都政の未来」。こちらはダイジェスト版で、ノーカット完全版はリンクから読めます。 ――2009年に自民党の町村派(清和政策研究会)を退会されたとき、「『もはや派閥の時代ではない』と言われて久しい。ここはチャンスだ。『創造的破壊』の瞬間だろう」と指摘されていました。24年1月には「派閥が当初の役割を終えた」と発言されていますが、「派閥の役割」とは何だとお考えですか? そしてなぜ、派閥は役割を終えたのでしょうか。 混乱期こそ変革のチャンスだと考えています。世界情勢も日々めまぐるしく動いていて、世界における日本の役割も問われています。今、まさに日本が変革するチャンスなのでしょう。 私自身は92年に日本新党から出馬して、「金権政治をいかに打破するか」という大きな目標を掲げて議員生活をスタートさせました。キャスターからの転身で、当時はそれなりの高収入を投げ打つ形で出馬しました。 当時は中選挙区制で、これが金権政治の温床であると考えられていました。そして派閥の維持やメンバーの増員にはお金が必要ですので、パーティーを開いてお金のノルマを割り当てる。これが、派閥のビジネスモデルとして、常態化していたと思います。
94年に小選挙区制が導入されると、派閥としてではなく党として選挙を闘うことになりました。中選挙区制から小選挙区制に変わった段階で、派閥は役割を終えたはずなのです。しかし一方で、総裁選への派閥の影響力は残ったままでした。 その後も派閥ごとに閣僚人事の割り当てを行っていて、それが党内における権力維持装置であり、パワーゲームの1つになっていました。私は02年に自民党入りした後、友人に誘われて森派に入ったのですが、派閥に所属してすぐのタイミングで大臣(環境相)に任命されました。派閥の順繰り割り当てではなく、当時の小泉純一郎総理にピンポイントで指名を頂いたからです。そうしたら、派閥の長に「そんなのは聞いていない」とたいそう怒られました。 派閥の存在が政治構造の変化を阻んできた点や、改革の際に派閥の壁に突き当たったことから、私は「むしろ派閥はない方が良いのではないか」というスタンスで活動してきました。 「派閥」はどこの会社でも、人間社会であれば常に存在する現象だと思います。ただ、それが「機能体」から変質して「共同体」になってしまうことが問題であると、私は言いたいのです。 本来、政党組織とは、国民のために機能を果たす目的のために運営されるべきです。これは「機能体・ゲゼルシャフト」です。ところが「共同体・ゲマインシャフト」になると、利害関係をともにし、「みんなで仲良くやっていこう」「次はあなたの順番だから」という内向きの組織になってしまいます。このようにして派閥が順番待ちの温床になってしまったのだと思います。
ダイヤモンド・ライフ編集部