「戦争絶対に起こさせない」 戦没者、開拓犠牲者追悼式【長野県泰阜村】
長野県泰阜村の戦没者と満蒙開拓犠牲者の追悼式が18日、同村平島田の平島田生活改善センターで開かれた。遺族ら関係者をはじめ、行政、議会、泰阜中学校の生徒ら約90人が参列。冥福を祈るとともに、多くの犠牲の上に今の平和があることにあらためて感謝し、恒久平和への思いを強めた。 村は戦時中、国策の満州移民計画に従い中国東北部の三江省樺川県大八浪に1174人の開拓団員を送った。敗戦に伴う過酷な逃避行や収容所生活などにより638人が命を落とした。 同センターに隣接する平和宮では、村内の戦没者233人と満蒙開拓犠牲者638人をまつっており、今年は悪天候が予想されたため屋内で行った。 追悼式では出席者全員で黙とうし、各代表者が献花や慰霊の言葉で哀悼の意を表した。横前明村長は「戦後79年が経過し、戦争の悲しみや苦しみが薄れている。悲惨な戦争を絶対に起こさないことを心に刻み、次世代に平和の尊さを伝えていかなければならない」と強調。満蒙開拓の歴史を学んでいる中学生に言及し、「将来を担う皆さんが平和の世の中を築いてくれると信じている」と期待した。 参列した生徒を代表し、3年生5人が満蒙開拓の学習の感想を発表。生徒の一人(15)は、自分と同い年の子どもが兵士になって戦ったり、開拓地に置き去りにされたことが印象に残ったといい、「今では考えられない状況だなと感じた。開拓地に残された人たちや現地の中国の人の気持ちを考えると苦しくなる」と吐露。「戦争は絶対にしてはいけないとあらためて思った」と語った。 発表後には全校生徒で会場に校歌を響かせ、村内で健やかに成長している姿を披露した。