『キン肉マン』大好き作家・燃え殻×爪切男の先月の肉トーク!! vol.34【コミックス派はネタバレ要注意!】
●テリーマンが登場したこの先は...... 爪 で、449話からのいわゆる説明回で、なぜザ・マンとザ・ワンが時間超人たちと闘わないのか、なぜザ・ワンはバッファローマンを修行させているのかの理由が、わかりましたね。神同士が闘うのは宇宙の調和の法則をさらに乱すことになる、だから絶対的な禁忌事項なんだ、という。 燃 うん。しかし先生、ここからの展開を作るの、大変だよ、これは。どうするんだろう......。う~ん、勝ち負けはおいといても、ウォーズマン、ネメシス、ネプチューンマン、テリーマンが闘うことまでは決まっているとして......。 爪 あと、ザ・ワンに付いた超人たちの闘いもあるし。ロビンマスクやアシュラマン、修行を終えて戻ってくるバッファローマンの。 燃 そうだよね。 爪 ラーメンマンもどこかで現れるだろうし。 燃 これから描かなきゃいけないことが多いよねえ。 爪 うん、キャラが多すぎて渋滞してる。 燃 だからと言って、「このキャラの顛末は描かなくていいや」っていうわけにはいかないし。『キン肉マン』が終わりに向かいつつある、という僕らの読みが当たっていたとしても、ちゃんとすべてを描ききって終了するまでに、相当の月日がかかるね、これは。1年2年じゃ無理だな。 爪 うん。僕ら、一応作家じゃないですか。自分の身に置き換えて考えると......。 燃 怖いよ! 俺だったら怖くなっちゃうよ。書けないよ、そんなの。 爪 怖いし、とりあえず健康には気をつけますね。身体を壊して最後まで描けなくなる、という事態にならないように。『キン肉マン』は責任がありますからね、最後まで描いてちゃんと終わらせなきゃいけない、という。 燃 あるよお! アニメも始まるしさあ。 爪 本当にお身体に気をつけてほしいです、嶋田先生も中井先生も。 燃 でもさ、ゆでたまご先生と同世代、あるいは上の世代で活躍しているマンガ家さんは何人かいるけど、今でも週刊連載を続けている人って、いる? 爪 どうだろう。思いつかないなあ......あ、高橋よしひろ先生の『銀牙シリーズ』(画業53年目)。 燃 ああ、そうだね。あと、週プレのもうひとつのマンガ連載、『TOUGH外伝 龍を継ぐ男』もあるか(1982年より『海のホワイティ』にて連載開始)。 爪 猿渡哲也先生。歳は上だけど、デビューはゆでたまご先生より後じゃないかな。 燃 うん。でも、四コマとかは別にすると、キャリア数十年のマンガ家で、現在進行形で週刊連載、っていうと、その3人しか浮かばないな。 爪 僕らも週刊連載やってますけど、マンガで週刊連載やってるのって、僕らの労苦なんて比にならない。すごいと思います。 燃 すごいよ! とんでもないよね。おふたりも、60歳を超えてからも、こんなペースで描き続けているとは思わなかっただろうなあ。 爪 その歳になってもマンガ家を続けていたい、というのはあっただろうけど──。 燃 週刊で『キン肉マン』を描いているとはね。もはや、おカネのためでもないだろうし。 爪 ですよね。『キン肉マン』を最後まで描ききらなきゃ、ちゃんと終わらせなきゃ、という執念なんだろうな。 燃 あと愛、『キン肉マン』という作品へのね。 ●燃え殻(MOEGARA)1973年生まれ、神奈川県出身。働きながら始めたツイッターでの発言に注目が集まり、作家デビュー。最新著は『夢に迷ってタクシーを呼んだ』(新潮社)。ドラマ『あなたに聴かせたい歌があるんだ』(漫画:おかざき真里/扶桑社)はHuluで配信中。出演中のラジオ番組 『BEFORE DAWN』(J-WAVE、毎週火曜26:00~27:00)もチェック ●爪切男(TSUMEKIRIO)1979年生まれ、香川県出身。2018年『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)で小説家デビュー。2020年、同作が賀来賢人主演でドラマ化。『きょうも延長ナリ』(扶桑社)が発売中。集英社発のWebサイト『よみタイ』で、コラム『午前三時の化粧水』、ドライバーWebで『横顔を眺めながら ~爪 切男の助手席ドライブ漂流~』を連載中。5月21日には『クラスメイトの女子、全員好きでした』が文庫化、さらに読売テレビ・日本テレビ系プラチナイト木曜ドラマとして7月11日(木)23時59分より同作ドラマがスタート(主演:木村昴) 取材・文/兵庫慎司 撮影/鈴木大喜 ©ゆでたまご/集英社