中小企業なので給与アップは夢のまた夢? 景気が厳しいので今年も賃上げは無理…?
日本ではバブル崩壊以降、失われた30年と呼ばれる不景気が続き、さらに40年目に突入してしまう状況です。そのため、特に中小企業では給与アップが長い間行われていない状況が続いていました。しかし、最近では物価が上昇し、大企業を中心に給与アップも広がりを見せはじめています。 本記事では、中小企業の賃上げ状況や国の賃上げ促進制度を解説します。中小企業の従業員や経営者の人は参考にしてください。
中小企業の賃上げ状況
(独)中小企業基盤整備機構によると、日本の中小企業数は全企業数の実に99.7%を占めています。そのため、働く人のほとんどが賃上げを実感するためには、中小企業が賃上げをできる状況が必要です。大企業が賃上げをするほど業績が上がってくれば、下請けの中小企業にも影響していくので、中小企業も賃上げしやすくなるでしょう。 まずは、現状の中小企業の賃上げがどのような状況なのか解説します。 ■中小企業も賃上げ傾向 厚生労働省の「令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、従業員数100~299人の企業の賃上げ状況は、図表1のとおりです。 【図表1】
厚生労働省「令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査」をもとに筆者が作成 令和3~4年において、定期昇給制度に関しては下降傾向ですが、賃金改定(アップ)に関しては明らかな上昇傾向が見られます。 ■中小企業の賃上げ傾向の理由 大企業の賃金引き上げは2022年の春闘がきっかけですが、理由としては以下が考えられます。 ●物価の上昇に対応するため ●人材不足を解消するため また、大阪シティ信用金庫が2022年3月上旬に実施した、アンケート調査結果の「中小企業における2023年の賃上げ動向 」(有効回答数1037 社)によると、賃上げをする最大の理由は以下の2つとなっています。 ●雇用の維持や従業員の士気高揚のため ●業績の向上・回復を反映して 調査によると、大企業や中小企業の賃金引き上げは、人材確保や業績の向上・回復が大きな理由となっていますが、物価上昇への対応するためという理由も考えられるでしょう。