新生9X8はまだやれる……! プジョー、“勝負にならなかった”ル・マン終えても「マシンの方向性は良いと確信」
フランスのサルト・サーキットで行なわれた伝統のル・マン24時間レース。チームの母国戦だったプジョーはハイパーカークラスに2台の9X8を持ち込んだが、優勝したフェラーリ50号車から2周遅れでの11位と12位という結果だった。 【動画】なんてこった! 総合優勝争ったトヨタをフェラーリが撃墜|2024年ル・マン24時間レース プジョーは2022年から、リヤウイングを搭載しない斬新なル・マン・ハイパーカー(LMH)9X8と共に世界耐久選手権(WEC)に乗り込んだが、満足の行く結果を出せず。今季は第2戦イモラから、リヤウイングを搭載し、前後のタイヤサイズを変更した改良型を投入してきた。 しかし度々雨が降った今年のル・マンでは、ライバルを相手に太刀打ちできなかった。11位に終わった94号車をドライブしたストフェル・バンドーンはmotorsport.comに対して、「レース全体を通して、単純にスピードが足らなかった」と吐露した。 そしてバンドーンは次のように続けた。 「僕らはスタートから後方に引きずり降ろされて、コンディションもかなり難しかった。僕らは勝負にならなかった」 プジョーにとって、今年のル・マンは“ウイングレス”仕様で戦った昨年のル・マンとは展開が大きく異なった。昨年は結果的に信頼性の問題でポジションを下げたものの、それまでは長い間レースをリードするなど上位を戦えるだけのペースを見せた。 2024年ではスピード不足が露呈したものの、プジョーは9X8の改良が正しい判断だと確信。テクニカルディレクターのオリビエ・ジャンソニーは、マシンが一歩前進した証拠として高い信頼性を挙げた。 「このマシンを製作したのは、間違いなく正しい選択だったと思う」とジャンソニーは言う。 「確かに少し新しいし、セットアップやペース、パフォーマンスの面で苦しんだ。ただ、今学んでいる新マシンは従来マシンとは根本的に大きく異なっている」 「テストデーやフリープラクティスから決まっていたようなモノだ。その時点から、正しいパフォーマンスに達していないことは分かっていた。そして最終的には、可能な限り最高なレースを提供するために全力を尽くした」 「我々にとって1番ポジティブだったのは信頼性だ。レースはもちろん、テストデーでも全く問題なかった。これでパフォーマンスにもっと時間をかけることができるし、来年はもっと強くなれる」 プジョーは以前、正式には9X8 2024と呼ばれる現行マシンを開発する理由として、様々なサーキットで等しく競争力を発揮し、実績あるライバルたちと戦う上でバランス・オブ・パフォーマンス(BoP)に頼らないことを挙げていた。 ウイングレス仕様の9X8は、ル・マンを含む特定のサーキットでは速さを見せたものの、マシン本来の特性に合わない他のサーキットではペースが上がらなかった。 昨年のル・マンで9X8が見せた強みのひとつが、ミックスコンディションでのペースだった。ドライとウエットが入り交じる段階でライバルに対してタイムを稼ぐことができたのだ。 プジョーは、2024年はこのコンディションでなぜペースを上げることができなかったのかを分析する必要があると認めた。 「そこは我々が取り組まなくてはいけない部分だ」とジャンソニーは語った。 「もちろん、昨年のマシンでここへ来た時、我々は今回よりもマシンをずっと理解できていた。タイヤ交換のタイミングやそれをどうするか、クロスオーバーのポイントなど全てについてね」 「少しずつ学んでいかなければいけない」 プジョーは今年のル・マンで終盤まで94号車9X8が10番手を走っていたが、最後の1時間で初参戦のランボルギーニ63号車SC63 LMDhにトップ10を奪われた。 プジョーのモータースポーツ部門を率いるジャン-マルク・フィノは、スローゾーンのタイミングが不運だったと説明した。 「レース終盤、我々はランボルギーニに比べていいペースだった。ランボルギーニに追いつくのは簡単だった」とフィノは言う。 「残念ながら、ランボルギーニがピットインする時にスローゾーンが設定され、(比較すると)40秒もロスしてしまった」 「スタートラインからダンロップブリッジまでスローゾーンが設定されていた。低速で走っていたし、前の周にピットインしていた」 「ランボルギーニがピットインした時、ストフェルはスローゾーンに入っていた。ストフェルはランボルギーニに12秒差をつけていたし、かなり前にいたんだ。でも再びスタートすると、スローゾーンにいたから逆に32秒差をつけられていた」
Rachit Thukral, Heiko Stritzke