特産使った「麦ストロー」給食に 群馬県玉村町 環境保護も意識付け
「これストローなの? 木みたい!」 群馬県玉村町立中央小学校の給食の時間。1年生が手に取ったストローは、いつもと違う薄茶色だ。10月25日、町内全小中学校に町産大麦の茎を使った「麦ストロー」が配られた。 【画像】直径約5ミリ プラスチックより柔らかい麦ストロー 関東平野の北西部にある同町は米麦二毛作が盛んで、麦の作付けは水田耕地面積の8割を超える。麦ストローに使うのは、麦茶などの原料になる六条大麦。茎の中が空洞で太く長いため、ストローに適している。 麦ストロー作りが始まったのは2019年。町特産の麦を知ってもらおうと、農家や栄養士でつくる団体「たまむら食の探検隊」が、給食センターと協力して取り組んでいる。 5月に探検隊のメンバーが刈り取った大麦の茎を、町内の小中学生がはさみで15センチにカットする。その後、給食センターの調理員らが大釜でゆでて消毒、乾燥させ、食品衛生検査をした上で給食で使ってもらう。
プラごみ削減を考える契機に
麦ストローには海を汚すプラスチックごみの削減について子どもに考えてもらう狙いもある。国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)を達成するため、全国ではストローを使わない牛乳パックに切り替える自治体も増えた。 とはいえ、玉村町の給食用牛乳は瓶牛乳。普段はストローを使わず瓶に口を付けて飲むが、粉末の牛乳用調味料「ミルメーク」を一緒に出す日は、牛乳と粉末をかき回すためストローを使っている。 探検隊の代表で町内で米麦、野菜を生産する金田邦夫さん(68)は「麦わらは英語で『ストロー』と言うんです」と教えてくれた。「昔は麦をストローのように使い飲み物を飲んでいた。だから、ストローはプラスチックから本来の形に戻っただけ」 給食の時間、麦ストローで牛乳を飲んだ5年の神通莉杏さん(11)は「大麦を切った時は柔らかかったけれど、今は固い」と驚いた様子。「日本には他にあまりないものだから、また来年も作りたい」
日本農業新聞