難病「脊髄梗塞」の佐藤弘道、直筆で示した復活への覚悟 「今は全く歩けません」1文字1文字丁寧に…リハビリで回復した例も
【元文春エース記者 竜太郎が見た!】 突然のショッキングなニュースだった。NHK「おかあさんといっしょ」の10代目たいそうのおにいさん、「ひろみちおにいさん」こと佐藤弘道さん(55)が6月13日、「脊髄梗塞」を発症したことを公表した。 【写真】「今は全く歩けません」佐藤弘道さんの直筆コメント <6月2日(日)研修会議に向かう機内で体調を崩し。下半身麻痺となり歩けなくなってしまいました>とつづった後、病名を明かし、<今は緊急入院をし、投薬とリハビリの日々を過ごしています。(中略)今後は長い闘病生活になりますが、リハビリに力を入れて復帰に向けて頑張りたいと思います>。 直筆のメッセージは1文字1文字が丁寧で、真面目で誠実な人柄が筆跡からうかがえる。続いての文言はつらいものだったろうが、佐藤さんは覚悟を示した。 <「脊髄梗塞」は残念ながら有効的な治療法がないことは知っています。今は全く歩けません。リハビリでどこまで回復するか分かりませんが、現実と向き合い、今出来ることを一生懸命行い、また皆様にお会いできる日を楽しみにしております> 脊髄梗塞は、脊髄にある血管が詰まることで脊髄の一部が壊死(えし)する状態のことをいう。動脈硬化や外傷、血栓などが原因となり、発生する部位や範囲によって異なるが、突然の背中や首の痛みや下肢のまひや筋力低下、しびれなどの感覚異常、排尿排便障害が症状となる。脊髄は脳の指令を伝達する重要な部位だ。 「脊髄梗塞は、脳梗塞の100分の1という非常にまれな病気で、年間に数人程度。症例が少ないため原因が分からないことも多く、有効な治療法も確立されていません。一般的に、何の前触れもなく突然背中が痛むことから始まり、数分以内に両方の手足から力が抜ける。さらに両側の感覚がなくなる解離性感覚障害になります」(脳神経医師) そんな難病ではあるがリハビリによって回復した例は少なくない。 佐藤さんは日本体育大学出身。2005年に「おかあさんといっしょ」を卒業後も明るく元気な「おにいさん」として万人から愛されている。幼少期からスポーツ万能で、大学系属の高校時代は器械体操でオリンピックを目指していたといい、「宙返りの練習中頚椎を損傷、死を覚悟した大事故から奇跡的に競技に復帰し、最終的には東京都で吊り輪6位に入賞した経験がある。挫折やけがを乗り越えてきたスポーツマインドがあるので、きっとこの病気を治して復活してくれると信じています」(佐藤さんを知る芸能関係者)。 子供時代にひろみちおにいさんから元気をもらった世代も多いだろう。佐藤さんの回復を心から祈りたい。
■中村竜太郎(なかむら・りゅうたろう) ジャーナリスト。1964年1月19日生まれ。大学卒業後、会社員を経て、95年から文藝春秋「週刊文春」編集部で勤務。NHKプロデューサーの巨額横領事件やASKAの薬物疑惑など数多くのスクープを飛ばし、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」の大賞受賞は3回と歴代最多。2014年末に独立。16年に著書「スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ」(文藝春秋)を出版。現在、「news イット!」(フジテレビ系)の金曜コメンテーターとして出演中。