“人類最強の兵士”リヴァイは何がすごいのか 『進撃の巨人』完結編が描いた“2つの顔”
リヴァイの人生を変えたエルヴィンの存在
リヴァイと仲間との絆といえば、言うまでもなくエルヴィンの存在を外すことはできない。元はといえば“王都のゴロツキ”だった彼の人生を変えたのは、他ならぬエルヴィンだった。リヴァイの兵士としての自我は、エルヴィンへの忠誠心と共にあったと言ってもいいだろう。 しかしウォール・マリア最終奪還作戦において、エルヴィンは「団長」という重荷から解放され、この世を去っていった。そしてリヴァイは「獣の巨人は俺が仕留める」というエルヴィンとの最後の誓いを実現するため、ジークを討とうとするのだが、幾度も失敗してしまう。 完結編では、「終尾の巨人」に襲撃をかけた際、モノローグでエルヴィンへの想いが吐露される場面が登場。脚を負傷している上、ジークを見つけられずにいるリヴァイは、「ヤツ(エルヴィン)の命令をしくじったことはなかった……なのに、ヤツの最後の命令だけがなぜ……!」と悔しさをにじませる。 さらにリヴァイは無力感に苛まれたのか、先に死んでいった「調査兵団」の仲間たちに想いを馳せ、「お前たちが捧げた命は他の命を踏みつぶすためにあったのか?」と自問自答。しかしすぐさまそれを否定し、「俺たちが夢見た巨人のいない世界は、呆れるほどおめでたい、理想の世界だったはずだ。そうでなければ、あいつらの命と見合わない」と断言し、エルヴィンや仲間たちのために歩みを止めず戦い続けることを決意する。 そしてリヴァイは最後まで強い責任感に貫かれ、その執念によって世界に平和をもたらすことに貢献。最後の戦いが終わった後、彼の目にはエルヴィンやハンジ、そして共に戦ってきた仲間たちの姿が現れ、ようやく重荷から解放されるのだった。 ちなみにその一方、リヴァイの仲間に対する情も最後まで変わらなかった。地鳴らしを発動して“世界の敵”となったエレンに対してすら、一方では非情な決断を下しつつ、「あのバカに言ってやりたいことはごまんとあったが……クソっ!」とやり場のない怒りを漏らしていたほどだ。 冷酷で容赦がない兵士としてのリヴァイと、どこまでも情を捨てきれない仲間想いなリヴァイ。『進撃の巨人』の完結編では、2つの相反する顔がそれぞれ表現されている。彼はたんなる無敵のヒーローではなく、大いに苦悩する人間だからこそ、世界中の人々から熱狂的に愛されているのではないだろうか。その勇姿を、ぜひ劇場まで足を運んで見届けてほしい。 参照 ※ https://x.com/anime_shingeki/status/1858797613249626200
キットゥン希美