かくれ猿のご利益(6月22日)
西会津町にある会津三観音の一つ、鳥追観音如法寺に三匹のサルが潜む。といっても観音堂東正面の彫刻の話。江戸時代の名工左甚五郎作と伝わる▼1611(慶長16)年、会津盆地は大地震に襲われた。倒壊したお堂を再建する際、この地の安泰を念じて彫られた。見つけた人は幸運を授かると名高い。「難よりかくれ猿」「難をのがれ猿」「安楽に暮らし猿」を順番に確認するのが習いだ。集中して探さねば容易に見つからない。寺に祈禱[きとう]を願い出て、「居場所」を教えてもらう手もあるにはあるが…▼近年、雨の災害が頻発している。西会津町では、2年前の豪雨で水田や畑が被害に遭った。完全復旧に至っていない地域もある。これ以上の厄災に見舞われぬよう神頼みしたくなる。鳥追観音の近くの大山祇神社で30日まで例大祭が営まれている。3年続けてお参りすれば、どんな願いもかなうとされる▼寺と神社の間は約4キロ。一度で回り切れない距離ではない。3年と言わず、水難が即刻「サル」よう願いを込めて巡ってみる。ついでに酷暑も、円安・物価高も。欲張り過ぎて「聞か猿」と閉口されぬか心配だが、願いが数珠繫[つな]ぎのご時世に免じて、どうかご容赦を。<2024・6・22>