静岡県議補選、盛り上がり低調 清水区で17日告示 続く保守分裂、知事選と連携進まず
無免許運転が発覚した前県議の辞職を受け、知事選と同じ26日に投開票される清水区選挙区県議補選(欠員1)があす17日、告示を迎える。知事選の陰に隠れ、地元でも盛り上がりは低調。2度目の挑戦の新人を支える同区の自民党内で保守分裂が続くなど、それぞれの事情や思惑から各陣営で知事選との連携も進んでおらず、各陣営は告示後の態勢強化へ戦略を練る。 「危機感を感じる」。5月9日夜、自民党静岡市清水支部長の遠藤裕孝市議は、同区内で行われた同党県連公認候補の伊藤高義氏(48)の会合で声を張り上げた。埋まったのは広いホールの半分程度。知事選告示日当日にもかかわらず、自民色が出るのを抑える同党推薦候補は訪れず、国会議員の姿もなし。同区選出の同党県議の望月香世子氏は約15分遅れて到着。質疑もなく会は30分ほどでお開きとなった。 低調ムードの“正体”は、区内三つの支部が望月氏と元市議の男性をそれぞれ推薦した2021年6月の県議補選から依然として続く保守分裂とされる。 23年4月の統一地方選の際には、保守分裂した補選で初当選した望月氏に加え伊藤氏の2人が出馬。衆院選に8回当選し、環境相も務めた父(故人)の地盤を引き継いだ望月氏が2万8千票を上回る大量得票した一方、伊藤氏は1万票余りにとどまり落選した。「(望月氏が)票を分けていれば受かった」(地元市議)との声は今も根強い。 同区の自民関係者は「望月氏の応援が鍵」とみるものの、望月氏の支援者は「5月上旬に開かれた緊急役員会では、知事選候補者の支援の話がほとんどで、伊藤氏については出陣式などの日程紹介だけだった。保守分裂のしこりは残っている」と声を潜める。 一方、辞職した前県議を支えた元長老県議らや連合静岡の支援を受けて初出馬している無所属の山田新氏(43)。選挙を支える国民民主党などの推薦を受けなかった。陣営関係者は「連合静岡から『知事選と同じ構図に持ち込んだ方が盛り上がる』との提案もあった。『オール清水』を打ち出すため、あえて政党色は控えた」と明かす。 これまで知事選候補者との連携は少なかったが、告示日を控えた15日午後、同じ支持基盤を持つ候補者と行動を共にした。今後は連携を模索するという。 同県議補選には、いずれも無所属の郵便局員前田精一氏(58)と警備員山口賢三氏(76)も出馬の意向を示している。
静岡新聞社