「40歳までに正社員になりたい」…政府が見捨ててきた「氷河期世代」を救う方法はあるか
平均年収443万円――これでは普通に生活できない国になってしまった。なぜ日本社会はこうなってしまったのか? 重版7刷の話題書『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』では、〈昼食は必ず500円以内、スタバのフラペチーノを我慢、月1万5000円のお小遣いでやりくり、スマホの機種変で月5000円節約、ウーバーイーツの副業収入で成城石井に行ける、ラーメンが贅沢、サイゼリヤは神、子どもの教育費がとにかく心配……〉といった切実な声を紹介している。 【写真】じつは知らない、「低所得家庭の子ども」3人に1人が「体験ゼロ」の衝撃!
氷河期世代を救うには
どうやって目の前の氷河期世代を救えばいいのか。これまでの取材を振り返ると、東京都の「東京しごと塾」に希望が見える。 東京しごと塾とは、政府が氷河期世代支援に乗り出す4年前の2015年度から、東京都が独自に行っている就職支援事業で、30~54歳の非正規社員を対象に行われる。事業の管理は東京しごと財団が行っている。実際の企画運営は東京しごと財団から人材ビジネス会社大手のパソナとパーソルテンプスタッフに委託されている。 腰を据えて訓練できるよう受講期間は2ヵ月間とされ、1期当たり原則として20人程度の少人数制で実施される。日々の生活に困らないよう、都から日額5000円の就活支援金が支給され、受講後3ヵ月の就職支援と定着支援が行われる。 ビジネスマナー、応募書類の作成、面接の練習などを行ったうえでグループを組み、東京しごと塾があらかじめ協力要請した企業にアポイントをとって訪問していく。会社の特徴などをヒアリングして、訪問企業をどうPRするか企画会議を重ね、最終日は企業の担当者を招いてプレゼンテーションを行う。グループワークを通して塾という“仮想職場”で“働く”体験をする。 支援のカギとなるのは、手厚いキャリアカウンセリングだ。ジョブトレーナー1人が受講生5人を担当し、その人が得意なことを見つける。受講生は「失敗した」「何をしたいのか分からない」などそれぞれに後ろ向きになっている。ジョブトレーナーは受講生が失った自信を取り戻し、一歩踏み出せるよう自己肯定感を引き上げていく。就職活動でマイナスイメージがつきがちな非正規雇用や無業の期間の長さをポジティブに捉えられるようにするのが、ジョブトレーナーの役割となる。