スマホ “OS戦争“ どちらが強い?
第三の勢力の反撃の可能性は?
――第三の勢力、たとえばWindows Phoneなどがシェアを今後、獲得する余地はありますか? 「Windows Phoneが割って入ってくるのは、かなり厳しい状況になっています。先進国では、日本と同じように所得に余裕のある層が多く、そういった層にとって、iPhoneはすごく支持されている。一方で、新興国では、価格に幅があり自分たちの身の丈にあったデバイスを買うことができるアンドロイドは人気が高い。世界的なシェアでいえば、アンドロイド80%、iOS15%、Windows Phoneが3%となっていて、大きな開きがある。なかなかこれをひっくり返すには、難しいでしょう」(島村氏) ――Windows Phoneが巻き返す場合、どんなシナリオが必要ですか? 「アフリカなどの発展途上国においては、まだまだフィーチャーフォンのシェアが圧倒的だったりする国も少なくない。たとえば、そういう国では、NOKIAの製品のシェアが多くを占めているケースがあります。マイクロソフトがNOKIAを買収したので、NOKIA製のフィーチャーフォンからNOKIA製のスマートフォン(Windows Phone)へうまく移行させることができれば、チャンスはあるかもしれません」(島村氏) ――世界的なシェアでiOSは巻き返しを狙っていないのでしょうか? 「今回の発表で象徴的だったのは、『iPhone5C』、つまり廉価版を提供する、ということだったと思います。アップルはスティーブ・ジョブズの時代から、いわゆるアップルユーザー層(結果的に一定のハイクラス層)をターゲットにしていましたが、今回、廉価版を出す、ということはハイクラスの層からミドル層までターゲットを広げた、ということが考えられます。どこまで5Cがそういった層に支持されるかが、巻き返しのポイントになってくると思います」 日本国内においては、人気の高いiOS(iPhone)ですが、グローバルな視点においては、多くのメーカーが手掛けるアンドロイドに軍配が上がっているようです。今後、廉価版の世界的な訴求次第では、iOSがどう巻き返してくるか、また、発展途上国の経済成長によって、”戦略次第”では、再びWindowsが席巻する時代がくるかもしれません。 ■澤村 隆之 (さわむら・たかゆき) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング グローバルコンサルティング部 プリンシパル。 大手銀行、シンクタンク、米系グローバル企業プロジェクトマネジメント部長等を経て現職。各種業界向けにグローバル事業戦略や経営管理体制構築支援プロジェクトを中心に活動。単独国での最適化だけでなくグローバル・リージョナルな視点での事業戦略立案、パートナー・アライアンス戦略等の具体化まで支援を行う。直近はASEANに加え米州、MENAもカバー。 ■島村 哲生 (しまむら・てつお) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング グローバルコンサルティング部 コンサルタント。 新卒にて入社。事業戦略、マーケティング戦略、消費者行動分析等に関する調査・コンサルティングプロジェクトに参画。主な業種分野は自動車・電機、化学・鉄鋼など。ASEANや南アジア等中心に消費者調査やマクロ・ミクロデータ分析を通じたマーケティング戦略構築を支援。