「それでもこの土地で栽培を続けたい」~豪雨被害から半年、ブランドいちご「あまおう」農家の思い
去年7月に九州北部を襲った大雨から半年が経ちました。福岡県久留米市では、年明けからのいちご狩りシーズンに向けて、被災したあまおう農家が奮闘を続けてきました。 【写真で見る】豪雨被害から半年 ブランドいちご「あまおう」
豪雨被害乗り越え、いちご狩りシーズン迎える
女の子「(食べてうなずいて)おいしい」 久留米市の南部、三潴町で福岡県のブランドいちご「あまおう」を栽培する観光農園は、休日には多くの家族連れでにぎわいます。代表の田川泰也さんは、いちご狩りの接客や箱詰め作業で大忙しです。1月に入り、いちご狩りの本格的なシーズンを迎えていますが、ここまでの道のりは平坦ではありませんでした。去年7月、九州北部を襲った大雨。久留米市でも、多くの田畑や農業用ハウスが浸水被害を受け、市内の農業被害は23億円近くに上りました。 田川泰也さん「これわざと棚を作って、洪水対策で上に上げてるんですよね。それでもこの苗が全部浸かるほど水がきちゃって…」 近くにある筑後川の支流があふれ、9つある田川さんのハウスもすべて胸の高さまで浸水。定植前のいちごの苗、およそ1万株を廃棄せざるを得なくなりました。いちご栽培に欠かせない暖房器具なども壊れ、被害総額は1000万円に上ります。
苗が足りない…そのとき
途方に暮れる田川さんを救ったのは、知り合いのいちご農家でした。田川さんはSNS接に「あまおうの苗が5000本ほど足りません。余剰苗をお持ちの方がいらっしゃいましたらご協力お願い致します」と投稿。すると同じいちご農家の人たちが援助の手を差し伸べ、田川さんは必要な苗を確保することができました。土砂やごみの片付け、浸水した畑の消毒などに2週間かかり、通常の定植時期よりは10日ほど遅れたものの、なんとか例年並みの生産量を確保できました。
引き継いだ祖父の農地で栽培を続けたい
8年前、会社員を辞めて祖父の農地を引き継ぎ、いちごの栽培を始めた田川さん。これまでに5度も浸水被害に見舞われてきました。それでも、この場所での栽培をやめるつもりはないと話します。 田川さん「先祖代々受け継いだ土地っていうのもありますし、あと筑後、福岡南部っていうのは山もなく海もなく、日当たりもよく、日射量がかなりあるんですよ。なのでいちごの栽培にかなり向いているんですよね。半年間けっこう洪水で大変な思いもしましたけど、たくさんのお客さんがきてくれて気持ちも楽になったというか、やってきたかいがあったなと思っています。できればもう洪水は来ないでほしいっていう部分と、あと行政にですね、もうちょっとどうにか対応をしてほしいですね」