本当の「CM女王」は「川口春奈」ではない? 「放送時間最長」優良企業ばかりがバックに付く女優とは
恐ろしく低い助演のギャラ
民放連続ドラマのギャラが驚くほど低水準のまま、上がる気配を見せず、俳優たちの生活に深刻な影響をおよぼしている。俳優の独立ラッシュの背景にもギャラの安さがある。一方で以前にも増してCMの仕事が貴重になっている。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】 【写真23枚】「さすがに大胆すぎるって…」“真のCM女王”はレッドカーペットで「谷間ドレス」を披露した“綾瀬はるか”だった? 話題をかっさらった綾瀬はるかの「妖艶な衣装」を見る ***
民放連続ドラマの制作費が約10年、据え置きになっている。割を食っているのは助演俳優たち。5番手俳優、6番手俳優になると、「ギャラは10万円以下」(芸能プロマネージャー)。このところ、助演俳優が連ドラに掛け持ちで出演するのが目立つが、その一因にもなっている。 所属事務所から独立する助演俳優が増えている理由でもある。少ないギャラの何割かを所属芸能事務所に天引きされると、一定の収入を維持するのが難しいからだ。 プライム帯(午後7~同11時)の連ドラの制作費は1回当たり3000万円前後。花王や日本生命など優良スポンサー4社に支えられているTBS「日曜劇場」は例外的に約4000万円の制作費があるが、一方で制作費が2000万円強の連ドラもあった。一流俳優が1人として出演せず、映像もチープだった。無論、低視聴率で終わった。 「この連ドラの制作費は6000万円くらい」といった景気のいい報道があると、そのたびにドラマ制作者や芸能マネージャーたちは「ありえない」と苦笑する。連ドラ界の金欠は深刻なのだ。 制作費が減っているのは各局の決算資料に目を通したら簡単に分かる。たとえばテレビ朝日の場合、2016年度の制作費は約908億円だった。ところが、2023年度には791億円に激減してしまった。視聴率下位局の減り方はもっと酷い。 制作費が減ったのは各局とも売り上げが大きく減っているから。たとえば日本テレビのCM売上高は2016年度に約2557億円だったものの、2023年度には約2192億円に落ちた。これでは制作費を増やせるはずがない。ウェブ広告の躍進と動画配信サービスの台頭による視聴率低下が大きい。 「連ドラの主演俳優のギャラの上限は1回当たり300万円」(ドラマ制作者)。これは約10年同じ。 上限のギャラが得られているのは役所広司(68)や堺雅人(51)、米倉涼子(49)らトップ俳優。ただし、どんなに高視聴率を得ようが、これ以上のギャラが出ることは決してない。スポンサー料はあらかじめ決まっており、視聴率に応じて支払われるわけではないのだ。 「上限以上のギャラを出すドラマがあると誤解している人がいるようですが、それではドラマが間違いなく赤字になる。プロデューサーが次の連ドラをつくれません」(芸能事務所代表) CMが高く売れず、民放界に金がない中、まったく新しい方法で資金調達を行ったのがTBS「日曜劇場 VIVANT」(2023年)だった。1億円以上の制作費を調達するため、同局系列の動画配信サービスU-NEXTから資金援助を受けた。 さらにドラマの拡大部分には「日曜劇場」とは異なるスポンサーを付けた。それでも赤字に苦しんだのは知られている通りである。