<解説>映画「ゴールデンカムイ」ができるまで ピタリとはまったキャスティング 世界も視野に?
野田サトルさんの人気マンガが原作でアニメもヒットした「ゴールデンカムイ」が、久保茂昭監督のメガホンで実写映画化。1月19日に全国で公開される。主人公の“不死身の杉元”を演じるのは俳優の山崎賢人さん(※1)。そのほか、アイヌの少女、アシリパ(※2)は山田杏奈さん、鶴見中尉が玉木宏さん、土方歳三を舘ひろしさんら“再現度が高い”キャストが話題だ。映画「ゴールデンカムイ」はどのように作られていったのか。製作幹事社に名を連ねるWOWOWの大瀧亮プロデューサーに、この一大プロジェクトが始まったいきさつやキャスティングの裏側を聞き、作品の魅力を解説する。 【写真特集】“杉元”山崎賢人や“尾形”眞栄田郷敦、“鶴見”玉木宏も! 映画の場面カットを一挙公開!!
◇始まりはコロナ禍の2020年夏
映画は、2014~22年に「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載された同名マンガの実写化。原作は、日露戦争終結直後の北海道を舞台に、アイヌの埋蔵金を巡るミステリーと、大自然の中で一癖も二癖もあるキャラクターたちによって繰り広げられるサバイバルバトルを描き、コミックス全31巻の累計発行部数は計2700万部超(2024年1月時点)。テレビアニメも人気で第1~4期までが放送されており、「最終章」の制作も発表されている。
始まりは2020年の夏。コロナ禍で外出が制限され、“おうち時間”が増えていた時期に外資系配信プラットフォームが国内で急速に勢力を広げていた。
WOWOWはそれ以前から「上質な作品が見られるチャンネル」として認知されていたが、製作費をかけて世界に向けて発信していく外資系の動きに、指をくわえて見ているわけにはいかなかった。「大きな作品を作ることでもう一度WOWOWらしさを伝えられたら」と、当時のWOWOWの制作局長が立ち上がり、前年に映画「キングダム」の1作目をヒットさせていた「CREDEUS」の松橋真三プロデューサーに声をかけた。
「当時、松橋さんが追いかけられていたのが『ゴールデンカムイ』でした。大変な労力と製作費がかかりますよと言われましたが、WOWOWとしてもそこにしっかりと覚悟をもって挑みたい、と」と伝え、映像化権の獲得を2社で乗り出すことにした。