舞台「千と千尋の神隠し」、東京公演は即完売 4月より4カ月間、日本とロンドンで同時上演!
2022年に初演、昨年再演も果たした舞台『千と千尋の神隠し』が、3月11日の東京・帝国劇場を皮切りに全国ツアーを展開。そして今年は、同時期に演劇の聖地、ロンドン・ウエストエンドでの公演も決まり、公演を間近に控え稽古真っ最中の主要キャストが一堂に会し記者会見が行われた。
会見冒頭、舞台を製作する東宝の松岡宏泰社長が「商業性だけでなく、芸術性でも高いことを証明した作品」と紹介したように、宮﨑駿監督による映画「千と千尋の神隠し」は2001年7月に公開。当時、「E.T.」(1982)が保持していた日本の歴代興行収入を塗り替えた宮﨑監督の前作「もののけ姫」(1997)の193億円を、自作によって大幅に更新し308億円を記録。歴代興収は「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(2020)のメガヒットにより2位となったものの、2002年のベルリン国際映画祭でアニメーション映画として初の金熊賞を受賞、2003年にはアカデミー賞長篇アニメーション賞をするなど、宮﨑駿監督が世界的な巨匠になった、記念碑的作品でもある。
松岡社長曰く「これを舞台化するのは壮大かつ無謀なチャレンジ」だったそうだが、「レ・ミゼラブル」などを手掛け、トニー賞を2度受賞しているジョン・ケアードが演出を務めた舞台版初演は、開幕と同時に全国公演のチケットが完売。収録映像や千秋楽公演の配信も行われるほどの大ヒットとなった。2023年には再演も果たされ、今年は国内での再々演に加え、2358名の収容数を誇るロンドン最大級の劇場、ロンドン・コロシアムで4カ月間にわたり上演、観客動員は30万人を見込まれている。
ジョン・ケアードは「ロンドンでも、演劇のファン層はそれほど若くはないが、宮﨑アニメのファンは20代からと若い人が多いので、新たな演劇ファンを開拓したい」とのこと。実際、今回のロンドンでの宣伝は、SNSを多用していて「18~35歳の人が最もチケットを購入している」と、ロンドンの舞台制作会社PWプロダクションズのイアン・ギリー最高責任者。また松岡社長は「ここまでチケットが売れるとは思わず、延長することになった。スタジオジブリのブランド力、作品の力がここまで海外で通用するんだ、と改めて驚いているところへ、すでに他の国からも声がかかっている」と言う。日本人キャストによる日本語での海外公演としては、日本の演劇史上最大の規模にして、90年もの歴史を持つ東宝にとっても初の試みだという。