消費増税、割れる主要紙の論調/4-6月期GDP速報値を受けて
来年4月の消費税率引き上げについて主要紙の論調が割れています。消費増税の重要な判断材料になる今年4-6月期GDPの速報値が8月12日に発表されましたが、それを受けた各紙社説は、予定通りの増税に賛成から反対までばらばらです。 8月13日の社説で、増税に最も積極的なのが日本経済新聞です。4-6月期のGDPが前期比年率で2.6%成長となったのを受け、「景気の着実な回復を支えながら、増税の実行につなげるべきだろう」と書いています。「消費税増税は財政再建の重要な一歩」として、「景気に与える影響には細心の注意を払うべきだが、増税そのものを回避するのはリスクが大きいといわざるを得ない」という立場です。 朝日新聞も増税に前向きです。日経のように直接的には増税を主張していませんが、「忘れてならないのは、財政再建への姿勢がゆらいだ際に予想される悪影響である」と、安倍政権にクギを指しています。日銀は金融緩和策として国債を市場で大量に買っていますが、これが財政赤字の穴埋めと見られて国債価格の急落(利回りの急騰)を招けば、「デフレ脱却も経済成長も幻となる」と書きます。だから増税で財政再建への姿勢を示すべきだと言いたいのでしょう。 毎日新聞は、日経や朝日より慎重です。「消費増税に進む経済的な基盤は固まりつつあるように見える」としながらも、「最終判断に向けては賃金の上昇や家計への打撃なども考慮する必要がある」と、増税延期を視野に入れた書きぶりです。 読売新聞と産経新聞はさらに慎重です。「2.6%成長 消費増税に耐えられる体力か」(読売)、「GDPと消費税 首相は複合的な視点もて」(産経)という見出しから、その姿勢がわかりますね。読売は、「1997年4月に消費税率を3%から5%に上げた際は、特別減税の打ち切りなど家計の負担増が重なった。アジア通貨危機と深刻な金融不安も加わり、景気が急減速した。長期デフレの発端となったことを忘れてはならない」と、過去の「失政」を引き合いに出して政府に慎重な検討を促しています。 東京新聞は来年4月の増税に反対しています。4-6月期のGDP成長率(2.6%)が市場予測(3.6%)を大きく下回ったとして、「消費税増税の環境がいまだ整っていないとみるべきだ」と主張。「経済を回復させれば税収が戻り、財政赤字も縮小する」ので、増税よりデフレ脱却を優先すべきという立場です。 このように消費増税については論調が割れている各紙ですが、「新聞を消費増税の例外扱いにしてほしい」という要望では歩調を合わせています。 日本新聞協会は今年1月、新聞への「軽減税率の適用」を求める声明を発表しました。ヨーロッパ各国で新聞には低い税率が適用されている例を紹介しつつ、「民主主義社会の健全な発展と国民生活に寄与する新聞を、全国どこでも容易に購読できる環境を維持することが重要」と訴えたのです。8月6日には、超党派の国会議員でつくる「活字文化議員連盟」に対して軽減税率の適用を要望しました。