ひたすら嘘のマメ知識を伝えてくるお姉さん…絶妙に真実っぽい発言に「危うく騙されそうだった」と反響続出【作者インタビュー】
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、原作をはるばーど屋さん、作画を生倉のゑるさんが担当する『ダウナー系お姉さんに毎日カスの嘘を流し込まれる話』に注目しよう。 【漫画】ASMR音声作品を漫画化… ひたすら嘘のマメ知識を伝えてくるお姉さんに「絶妙に真実っぽい」「これは騙される」の声 同作はASMR音声作品を漫画化したもので、カドコミやニコニコ漫画で連載されているシリーズ。はるばーど屋さんのX(旧Twitter)に第1話が投稿されると、多くの人から注目を集めて4.6万もの「いいね」を獲得している。そこで原作を担当したはるばーど屋さんに、同作が誕生した経緯などについて話を伺った。 ■ひたすら嘘を伝えてくる女性と黙って聞き続ける青年 夕方の公園、ベンチで読書をしている学生の男子。どこからともなくひとりの女性が現れて男子の横に座るや否や、「ね 知ってる?」「電線にとまっている雀が感電しないのは みんなで乗ってダメージを分散してるからなんだよ」と、何の悪びれる様子もなく嘘を彼に伝える。 他にも「今って開けたときに液がこぼれるゼリーは違法」「セルフレジはレジ打ちの天才を見つけるために導入された」など様々な嘘を淡々と青年に語りかけ、ただ時間だけが過ぎていく…。 次々と披露される彼女の嘘に対し、読者からは「絶妙に真実っぽいから危うく騙されそうになった!」「男の子が黙って聞き続けているのが笑える」など好評の声が相次いでいた。 ■サイトに投稿された第1話と嘘がすべて異なる「嘘ver.」を公開? ――そもそも質問で恐縮ですが、『ダウナー系お姉さんに毎日カスの嘘を流し込まれる話』のストーリーを考えたきっかけや理由があればお教えください。 この漫画は『ダウナー系お姉さんに毎日カスの嘘を流し込まれる音声』という音声作品(同人ボイスドラマ)が元になっています。同人サークル「はるばーど屋」のメンバーはもともと嘘や冗談を言うのが好きで、「たくさん嘘をつきたい」という思いと、「自分だけに構ってくれるお姉さんがいたらいいのに…!」という誰しもが持つ思いが組み合わさってこの物語が生まれました。 そうして形にした作品をインターネット上で発表したのですが、作品の販売が開始していない予告、体験版の段階で大きな反響があり、予告の翌日にWebComic「アパンダ」様よりお声がけいただきました。そのため、漫画『ダウナー系お姉さんに毎日カスの嘘を流し込まれる話』としてのスタートは、音声作品『ダウナー系お姉さんに毎日カスの嘘を流し込まれる音声』の発表翌日でした。 基本的には「音声」「話」ともに同じ世界観なのですが、「音声」の主人公が視聴者なのに対し、「話」の主人公はより具体的な背景を持った1人の少年となっています。そのため、『ダウナー系お姉さんに毎日カスの嘘を流し込まれる話』のストーリーは、音声作品と似ているようで少し違う内容になっています。 また同作のストーリーを考える上では「意味がないこと」を大事にしています。多くの物語の主人公は、特別な力を持っていたり、人並み以上の努力をしているなど、「好かれる理由」があって周りの人物に好かれています。そんなとき、主人公の力や努力には「意味」があると言えます。この漫画の2人の関係性には、そうした「意味」を強く求めず、自分に特別な価値がなくたって、隣にいてくれる人がいてもいいはずだ、という願いを込めています。 現実世界では、いろんなことに「意味」や「理由」を求め、そして求められてしまい、疲れてしまうことがあると思います。「カスの嘘」というナンセンスで意味のないものを通して、「意味」を求めない時間を届けられたら、と思います。 ――Xに投稿された『ダウナー系お姉さんに毎日カスの嘘を流し込まれる話』の中で、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。 特に気に入っているシーンは「(フレミングの法則って)いま 四本指なんだよ」というシーンです。Xに投稿した1話はサイトに投稿されたものとは嘘がすべて異なる、言わば「嘘ver.」なのですが、1度完成した1話に対し後から嘘を差し替えているため、どこかちぐはぐさもあり、この嘘は別れ際のさりげないセリフにしてはインパクトの強いものとなっており、そこまでの流れも相まってシュールで面白い絵面になっていると思います。 差し変わった嘘部分の絵は全て作画担当の生倉のゑるさんが描き下ろしてくださっているのですが、一番の見せ場であるアカマンボウのシーンもサイト側の1話と遜色ない迫力があり、大好きです。 ――物語の筋道や展開を考える際は、どのような方法、経緯で組み立てていくのでしょうか? まず「やりたいシーン」を最初に思い付き、そのシーンにたどり着くための筋道を考えています。「このキャラはこんなことを言うだろう」「このキャラはこういうことはしないだろう」といったことを考えていくうち、自然と展開が決まっていきます。 「やりたいシーン」は、自分の経験が元になることもあります。普段の生活の中で、興味を持ったことや気付いたこと、たのしい、おもしろいと感じたことに対し、「あの2人だったらどうなるだろう」と考えることで新しい物語になっていると感じます。 ――今後の展望や目標をお教えください。 目標は「シールつき魚肉ソーセージ」化です!その他、実写化、フィギュア化、国有化など、ご縁をお待ちしております! …嘘です。 いち同人音声作品として作り始めた物語がいま、不思議なご縁をいただきき漫画となっています。言ってしまえば今連載されているこの作品自体が目標のようなものなので、単行本をお届けできるよう、精一杯頑張りたいと思います! ――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします! 『ダウナー系お姉さんに毎日カスの嘘を流し込まれる話』を読んでいただき、ありがとうございます! これから先、元となった音声作品の「その先」の可能性のひとつを描いていきますので、おたのしみに!本作で一番目立っているのはもちろんお姉さんなのですが、ぜひ少年にも注目してみてください。そして「カスの嘘」という、意味がなくて、でもたまにちょっぴり意味があるような、そんなすてきでくだらないものを楽しんでくださればと思います!